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地方競馬スペシャル 腕はまだ未熟でも熱意は人一倍 本田紀忠騎手

 デビュー戦は、ほろ苦い記憶として残るのだろうか。
 12日の川崎競馬5R、出走馬12頭で12着。つまりはビリだ。初騎乗を終え、検量室に帰ってきた本田紀忠騎手(22歳、川崎・高月賢厩舎)は、まるで「魂が抜けた」…そんな顔だった。ハナを奪い、果敢な攻めで後続を引き離したが、最後は見事なまでにバテた。
 「スタートから行く気でした」。少し冷静さを取り戻した後で、その言葉だけはキッパリと口にした。結果はともあれ、新人らしい思い切りのいい騎乗だった。翌日の2戦目には人気(5番)を上回る3着に健闘してみせた。
 亡き父に薦められて興味を持った競馬の世界。中学3年生のときからずっとなりたくて、何度も壁に弾かれながらも諦められなかった長年の夢、「ジョッキー」にとうとうなった。22歳という年齢は今年の新人騎手の中で最年長。10代でのデビューが一般的な世界で年齢的な焦りもあるが、「今まで我慢したおかけでいろんな人にめぐり会えたし、厳しさにも耐えられた」。
 高月賢師も「技術ははっきり言って全然ダメだけど、馬にかける情熱はすごい」と評すように、物静かな表情の下には誰よりも熱い思いを抱いている。これからは常に百戦錬磨のトップジョッキーたちと同じ舞台に立つ。「反省はしても後悔はするな」。まだ何も築いていないのだから、前進あるのみだ!

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