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夜を棄てたキャバ嬢〜酒により体調を崩した響子〜

 キャバクラ嬢という仕事は不規則な生活が続くだけでなく、タバコや酒などを摂取する事も多いため徐々に健康が失われていく場合がある。夜の世界に足を踏み入れて2年が経過した響子(仮名・25歳)は、次第に体調の悪化を感じはじめていた。

 「私はトークがそれほど得意というわけではないので、お客様から勧められなくてもどんどんお酒を飲む方だったんです。なので1日に飲む量が、とても多かった」

 響子は元々、酒が好きだったため、店では毎晩浴びるように飲み続けた。だがそんな日々が確実に彼女の体を蝕んでいく。

 「ちょっと胃が痛むな、といった前兆はあったんです。プライベートならお酒を控えることができても、キャバは仕事ですから、飲めないなんてお客さんの前で言えないですよね。だからいつもと変わらず大量にお酒を飲む生活を続けていたら、ある朝、今まで感じたことがないほどの胃の激痛に襲われたんです」

 医者に見てもらうと、響子は胃潰瘍と診断された。原因は酒、タバコ、精神的なストレスによるものだという。普通ならばそこでキャバクラの仕事を辞めるが、彼女には簡単に辞めることができないある理由があった。

 「実は親の借金があるんです。自分でもあまり向いてないと思う水商売の仕事を続けるのも、お金を稼いで借金を返す事が目的です。なので胃が悪いからと、簡単に辞めるわけにはいきませんでした」

 そんな厳しい状況の中、彼女はいつも店に来てくれる常連にだけ、事情を思わず話してしまったという。

 「そしたら彼は“今すぐに仕事を辞めなさい。お金の事は力になる”って言ってくれたんです。その言葉がうれしくて、涙が溢れました。その優しさに感動し、今は彼と真剣に交際しています」

 響子は客から“お金よりも命を大切にするように”と説得された。その言葉を重く受け止めた響子は現在、キャバクラを辞め、治療に専念しているという。

(文・佐々木栄蔵)

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