小室被告が経営する芸能プロダクション「ティーケーシーオーエム」(TKCOM、東京都港区)が米俳優チャーリー・シーン氏(43)の子供服ブランドの日本国内販売代理店契約を結びながら、契約金の残金14万ドル(約1400万円)の未払いで貿易業の女性経営者(39)に提訴された民事事件の第2回口頭弁論が2日、東京地裁(大段亨裁判官)であり、TKCOM側はそのうち10万ドル(約1000万円)は支払ったとする銀行振り込み記録を提出。弁護士同士が新証拠をめぐってやりとりする中、TKCOM側弁護人から驚くべき話が飛び出した。
保釈されたにもかかわらず、肝心の小室被告に直接確認を取れないというのだ。そればかりか居場所もわからないという。唯一、大阪拘置所で刑事弁護人に対し「分からない。覚えていない」と話した事実が明かされた。
これでは裁判は進まない。原告側弁護人は苛(いら)立ちを抑えるように「ゆくゆくはこういう事実関係の争いになると、小室さん本人に出廷していただくことになる」と証人申請をちらつかせた。
本紙既報(11月7日付)の通り、この訴訟は、TKCOMが2006年9月、チャーリー・シーン氏の子供服ブランド「Sheen Kidz(シーンキッズ)」の日本における独占販売代理店契約を約20万ドルで締結し、14万ドルが未払いだとして今年9月に提訴されたもの。小室被告が逮捕された11月4日に第1回口頭弁論があり、TKCOM側は原告側の請求棄却を求める文書を提出。原告側弁護士によると、それまでの支払い遅延をめぐる誠実な対応とは一転して裁判で争う姿勢をみせたという。
そもそも、シーン氏サイドとのパイプ役となった原告の女性経営者は、小室被告の逮捕前からことを荒立てるつもりはなく、支払い交渉が約2年にもわたったため提訴に踏み切った。6月から小室被告とTKCOMのダブル代表に就任したN氏も9月、完済する意思を表明。しかし、対決姿勢が鮮明になってきたことで原告側が法廷戦術を切り替える可能性もあり、小室被告の民事裁判出廷が現実味を帯びてきた。
この日の法廷は民事とあって傍聴人もまばら。約15分間隔で順繰りに各事件の審理が続いた。TKCOMの審理に入っても「どこの小室?」といった感じ。ほとんどが順番待ちの別の民事事件の関係者だった。
そんな中、TKCOM側が提出した新証拠について、原告側弁護人は「小室さんに確認したうえで書面を出すべき。小室さんと連絡が取れたうえでのことなのか? そこにあったから出すというのはおかしい」と指摘。
TKCOM側弁護人は「確認しようにも連絡が取れない。依頼者は刑事被告人で、この事件を受任して3〜5日後に逮捕されてしまった。刑事弁護人は保釈中の住所を教えてくれない。(大阪拘置所での)接見時に本人に聞いたら『わからない。覚えていない』と話していたそうだ。ただし、拘置所で聞いているから精神的なものもあるだろう」と答えた。
閉廷後、TKCOM側弁護人は本紙の取材に、「刑事弁護人によると、小室さんは『シーンキッズ』の契約じたいは覚えている。しかし、10万ドルをどういった経緯で支払ったか覚えていない。原告側は、それは契約金とは別の“紹介料”だと主張するんだろうが、和解するにもこの10万ドルの差は大きい。小室さんは借金のヤマなどと報じられているが、一時期は年間20億円を稼いでいた。14万ドルくらいの金が払えなかったとは考えにくい」などと話した。
そうはいっても、原告側が提訴前にTKCOMの預金口座を差し押さえた際、残高が6259円しかなかったのは事実。小室被告にとって1000万円は、はした金だったのか? 次回期日は来年1月27日。刑事事件では実刑は免れないとみられているが、逮捕で目が覚めたというのが本当ならば、あらためて記憶を呼び覚まし、はっきり主張する必要があるだろう。