麻生首相は分かりやすいタイプ。記者団の質問を受ける際には厳しい表情が目立っていたが、17日は一転リラックスした表情となり、笑顔がはじける場面さえあった。
両院議員懇談会で反麻生派がいくら騒いだところで、もはや「麻生降ろし」は限りなく不可能となった。しかも会合時間は短く、報道陣を締め出して行うため、マスコミ向けのパフォーマンスさえ打ちようがない。首相がホッとするのも無理のない状況だが、永田町関係者は「懇談会は紛糾するだろう」と不気味な予告をする。
「自民党がどうあがこうと事態はなんら変わっていない。解散後、麻生首相で戦う選挙は負け戦になる。責任の所在を明確にするためにも、反麻生、親麻生問わず厳しい意見が首相に集中するはず。しかし首相にしてみれば、安倍、福田と2代続いた政権放り出し劇を受け、むしろよく踏ん張ってきたという思いが強い。吊るし上げを食らえば、おじいさんのように『バカヤロー』とつぶやくシーンがあっても不思議はない」(同関係者)
麻生首相の母方の祖父・吉田茂元首相は一般に“バカヤロー解散”した宰相として知られる。1953年、衆院予算委で野党議員の挑発質問に激こうし、「バカヤロー」とつぶやいたことが解散のきっかけになった。このシーンが、その血筋を受けた麻生首相によって懇談会で再現されかねないというのだ。
下野すれば野党。傷をなめあってもしょうがないうえ、党内の亀裂は「修復不能」(若手議員)とされる。
前出の関係者は「懇談会で首相に非難が集中する確率は99%。両院議員総会を回避したことや密室スタイルなどやりすぎ感のある逃げ切り工作への嫌悪感もそれくらいあるだろう」と予測する。
首相は17日、「どんな形で開催するかは、幹事長のところで仕切っている。私が決めた話ではありません。党で決めたことに従っているだけですから」と繰り返した。