最強馬へ上り詰めるチャンスがめぐってきた。菊花賞馬アサクサキングスが、文句なしの仕上がりを見せている。
「先週、一杯に追い切って少しイライラしているけど、気配自体は悪くない。今週は軽めで十分なほどに仕上がっている」と大久保龍師はうなずいた。
その1週前追い切りは栗東DWコースで長めから。まずキャンターで1周流してから6F79秒1、ラスト1F11秒5の好時計をマークした。長丁場を意識したハードトレ、しかも終いまで脚取りは乱れなかった。
距離不足かと思われた前走の大阪杯は3着。「もう少し体を併せるのが早かったら」と師が悔やむほどの惜敗だったが、「去年より追ってからしっかり伸びるようになってきた」と収穫の多い前哨戦だった。59kgを背負い、芝2000m1分58秒台をマークしたのだから、持久力に加えてスピードも身についてきた。
休み明けを叩かれ、定石通りの上昇気配。昨年の菊花賞制覇が示す通り、スタミナがモノをいう3200mは大歓迎と、すべての面で条件が良くなっている。
「理想的な調整ができたね。今回は相手が強いけど、楽しみになってきた」ダービーを牝馬のウオッカにさらわれ、牡馬は谷間と揶揄(やゆ)されてきたこの世代。最強馬の座を奪い取り、キングスが低評価を覆す。
【最終追いVTR】前半は折り合いに専念してセーブ気味の走り。直線に入ってもガッチリ手綱が抑えられて仕掛けられたのはラスト1F。追われてからの反応は鋭く、最後は軽快に伸びた。