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【これじゃ売れない!】下手に業界ウケしたのが迷走の始まり…。相対性理論・やくしまるえつこはこれでいいのか?

 今日の【これじゃ売れない!】は、やくしまるえつこ率いる相対性理論。知らない人が多いと思うけどこのバンドは、昨年ぐらいから急激に知られるようになり、SMAP×SMAPの人気ゲームコーナーで曲が使われたり、いろんな著名人がコラボしたり、今もっとも勢いがあるオシャレなポップ・ユニット。だけどCDのクオリティとライブのそれでは音がぜんぜん違うともっぱらのウ・ワ・ザだけどね。

 “相対性理論と大谷能生”の 新ユニットが主題歌をう映画「乱暴と待機」(10月9日テアトル新宿ほか全国公開)。この映画は、人気女性劇作家の本谷有希子が書いた原作を、「パビリオン山椒魚」や「パンドラの匣」で知られる富永昌敬が監督。先の主題歌のCDジャケットのデザインをエヴァンゲリヲンの鶴巻和哉が担当してたり、浅野忠信、美波、小池栄子、山田孝之と、出演者もえらく豪華。とにかくこの作品自体がコラボ合戦というか、客を呼ぶための引き出しが多すぎる。

 で肝心な映画はどうかというと、試写を見た限りではなかなかシニカルな出来。相対性理論の曲に陶酔する浅野忠信のキャラクターがところどころ笑いを誘う。しかしその笑いは芸能人やマスコミ関係者が異常に喜ぶようなテンションだった。記者にはピンとこないけど、おしゃれに敏感な若者が支持するクリエーターたちはこぞってこの映画を推奨するであろう。

 小学生の落書きみたいなチープなイラストがトレードマークでテクノ、エロス、アニメ、女子高生、ジャズ、ボサノバと様々なイメージがない交ぜになってある種のスタイルが成立している相対性理論。甘ったるいやくしまるえつこの歌声が、実はこの映画に思いっきり合っていない。かつて相対性理論の醸し出していた独特のアマチュア感は、洗練され、普段見慣れたモノと同じ画面に収まりきれないのかもしれない。

 晴れてメジャーデビューを果たしたアーティストに必ず投げかけられる言葉で、「デビュー前の方が良かった」と言うのがある。「ずっと売れずにいて」そんな酷な事は言えないし、歌手は売れてなにより。それはどうしようもない事なのだが、相対性理論の場合はとにかく彼らの歌を最初に聴いていたファンたちの“おいてきぼり度”が激しい。一部の音楽ファンの心の友だったやくしまるえつこの露出が始まったとたんに「SMAP」、「浅野忠信と小池栄子」、「エヴァンゲリヲン」といったメジャーなカルチャーからシャワーのように注目を浴びすぎた結果、相対性理論の何かが変わった。

 下手に業界ウケしたのが、迷走の始まり?。露出度が高まるも、地味なライブ活動を続ける相対性理論。音楽性がやや変わった彼らはこの先どこへ行くのか。もうそろそろ、やくしまるえつこを持ち上げていた“業界”の人たちも、彼女が椎名林檎ほどの「儲け」を産み出さない事も、大塚愛ほどの「アイドル根性」を見せない事にも気がついているのではないか。(コアラみどり)

写真:相対性理論と大谷能生/乱暴と待機 メディアファクトリー 9月29日発売

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