恋人や友人、夫婦といった様々な関係において生じてしまう問題で、知らず知らず抜け出せない状態になっていることが多いです。受けているほうは精神的に追いつめられ、健康を害してしまうこともあります。
今回は、看護師の大木アンヌさんに、モラハラによる健康被害や改善方法についてお聞きしました。
■モラハラとパワハラの違い
「ハラスメントとは“嫌がらせ”という意味で、モラルハラスメントは海外から来た言葉ですが、パワーハラスメントは和製英語になります。パワハラは主に職場において、権力があるものが下の立場の者に対して行う嫌がらせです。モラハラは夫婦や恋人関係などに多く見られ、相手の人格を否定するような嫌がらせをします。立場はあまり関係なく、部下から上司などに行われることもあります。嫁姑問題も、モラハラの一種と言えるでしょう。パワハラが威圧的で周囲からも分かりやすいのに対し、モラハラは陰湿で周囲が気付きにくいという特徴があります」
■モラハラによる健康被害
「モラハラにより、人格を否定するような言葉や態度を繰り返されることで、受けたほうは強いストレスを感じます。やがて不眠症や食欲減退といった症状が現れ、それが続くと胃痛や頭痛、円形脱毛症などに発展し、さらにはうつ病などの発症につながります。モラハラはDVに発展するケースも少なくありません。すると健康被害だけでなく、身体的外傷まで受けることになります」
■モラハラ改善のためには
「モラハラは周囲からは分かりにくいため、友人などに相談を持ち掛けても親身になってもらえない場合があります。かといって、本人と話し合おうと思っても、逆に火に油を注ぐ結果になることもあります。だからそれを恐れて我慢し続けてしまう方も多いです。モラハラの加害者になりやすい人の特徴としては、自尊心や嫉妬心が強かったり、相手を束縛する傾向にある人、他人の悪口ばかりを言う人などが挙げられます。こういった人が周りにいるようなら注意しましょう。また、自分がそういった傾向があるかどうかも認識できるといいですね。モラハラの被害に遭っているのに抜け出せないのは、自分が相手に依存している可能性が高いです。相手が同情を誘ってきても厳しく接し、しっかりと距離をおくこと。専門機関などに相談することも解決策のひとつです」
モラハラの被害に遭えば、健康を害すだけでなく、日常生活もままならないほど精神的なダメージを負ってしまうこともあります。身に覚えのある方は、まず相談を。また、加害者になり得る性格的な傾向をお持ちの方は、普段から自分の振る舞いに気をつけるべきです。
【取材協力】大木アンヌ
ルーマニア人ハーフの看護師。家庭や恋人同士で使える簡単な医療の知識を少しでも伝えていくため、ライターとしても活動中。