そんな停滞ムードを打破するため、6月頃「5人抜き」と言われる特進で若手社長に抜擢されたのが亀山千広氏(57)だった。亀山社長は『ロングバケーション』や『踊る大捜査線』などのドラマを手がけた同社の名物プロデューサー。亀山体制になって半年が経過しようとしている社内の様子を社員がコッソリ語った。
「お台場合衆国などの“サイドビジネス”の方は絶好調なようです。つい最近は『お台場カジノ構想』が国会で話題になると、株価も急上昇し上司もご機嫌でしたよ。ただ、肝心の本業の方は相変わらずダメです。『いいとも!』は終わっちゃうわ、『ほこ×たて』も例の件があったし…」
視聴率を取り戻すどころか、人気番組を立て続けに失ってしまったフジ。同社の日枝会長も月刊『文藝春秋』10月号で「経営判断基準は単に視聴率だけではない。総合的な売り上げと利益だ」と、強がってみせたものの、希代のヒットメーカーが社長についてもいまだヒット番組を産み出せずにいる。
亀山社長と親しい別の人物は「同時期に人事異動した親会社の新社長と副社長は、フジがダメだった時代の人たちがそのままあがってきてしまった人材らしく、亀山さんもやりにくそうなことを言っていた」と打ち明ける。
亀山社長がやりづらいとこぼした二人はともに一回りも年上の人物。派閥争い渦巻く旧態依然の大企業となってしまった現在のテレビ局で、社長一人に改革を期待する方が時代遅れなのかもしれない。新社長の苦悩の日々は続きそうだ。(明大昭平)