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福田首相サプライズゼロ「総選挙自爆内閣」

 福田康夫首相(72)は1日、突発的に内閣改造と自民党役員人事を断行した。本人は「安心実現内閣」と胸を張るものの、顔ぶれに新鮮さはなく目玉閣僚もサプライズもなし。そのくせ党内各派のバランスだけはとっており、識者からは手厳しい批判が相次いだ。解散・総選挙を自らの手で行うために踏み切った改造は、“総選挙自爆内閣”を誕生させてしまった。

 改造内閣は別表(※表は紙面のみ掲載)の通り。党4役には、麻生太郎幹事長、保利耕輔政調会長、笹川尭総務会長があてられ、古賀誠選対委員長は留任した。
 福田首相がこの内閣と党4役で解散・総選挙すれば、与党勝利に導けると本気で思っているのなら相当おめでたい。最大の特徴は自民党内の各派閥の領袖を取りこんでいること。要するに“福田降ろし”を封じただけのメンバーである。思いきった若手起用も民間人の抜てきもなく、ひたすら各派閥におもねって練り上げた布陣で解散・総選挙を闘っても、自爆するのは目に見えている。
 改造内閣をネーミングしてもらった識者からは「期限付き」「千秋楽」とネガティブなキーワードがポンポン飛び出した。
 評論家の宮崎哲弥氏は、年末、年明けにあるとみられる総理総裁交代や解散・総選挙を見据えた「消費期限付き内閣」と命名。「事実上、次期総理総裁への禅譲を前提にした内閣という色彩が濃い。政権運営に対する麻生幹事長の影響力は絶大なものになるだろう」と予測する。
 その上で「保守本流系派閥の中堅若手実力派の任用が目立つ。よく言えば年明けの政局や次期政権を見据えた渋い人事だが、一般受けする派手さに欠ける。年末までに『期限切れ』にならないといいが…」と心配までしてみせた。
 評論家の佐高信氏もまた相当辛口だ。「財務相に旧大蔵省出身の伊吹文明氏を起用するなど、官僚主導の政治を変える気はないというメッセージを発している」とばっさり。「支持率低下は止まらず、本当に後がなくなる」として「千秋楽内閣」と命名した。
 さらに「郵政民営化に反対した人(保利、野田聖子両氏)が復権。小泉路線の否定がより明確になった」と改革逆行を指摘した。
 国民の関心を呼ぶサプライズ人事など、福田首相にはどだい無理な話。4日改造説が急に前倒しされた点のみが「“グズ夫”には珍しくスピーディーなサプライズだった」(政治記者)とトホホな評価を受けていた。
 野党各党は1日、福田康夫首相が断行した内閣改造と自民党役員人事について「自民党最後の内閣」(鳩山由紀夫民主党幹事長)と酷評し、対決姿勢を鮮明にした。福田首相自らが衆院解散・総選挙に打って出るとの見方を強めており、次期臨時国会で後期高齢者医療制度の廃止などを引き続き求め、福田改造内閣への攻勢を強める考えだ。
 民主党の小沢一郎代表は1日、三重県伊勢市で記者会見し「国民が望んでいるのは閣僚の顔触れを替えることではない。与党内の人事に関心はない」と強調。「次期衆院選で政権を奪取し、国民本位の政治を実現する。その一点に集中して頑張りたい」と政権交代への決意を示した。
 鳩山氏は会見で「首相は自分の手で衆院を解散する腹をくくった」と指摘。記者団に「政党間の意見交換が必要であれば、話し合うことはやぶさかではないが、国会の議論を通じて結論を出すことが重要だ」と述べた。
 共産党の市田忠義書記局長は会見で「国民の願いは政治の中身を変えることだ。臨時国会では福田改造内閣に真っ正面から論戦を挑む」と表明。社民党の福島瑞穂党首も会見で「反乱しそうな麻生太郎氏を取り入れた『福田保身内閣』だ。何をやりたいのかさっぱり分からない」と批判した。
 国民新党の亀井久興幹事長は記者団に「国民生活が悲鳴を上げている状況に機敏に対応できる布陣になったのか疑問だ」と指摘。新党日本の田中康夫代表は「政府、与党内の不満解消を第一義とする消化人事だ」とのコメントを出した。

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