彼はそんじょそこらのアーティストとは、比べ物にならないぐらい歌が上手いのだ。
その日はデビュー前の清水翔太も出演していたのだが、童顔の面立ちこそ覚えていたが、前座だったせいか記者は清水の歌唱力についてあまり印象に残らなかった。それから一月ほどしてデビューを果たした10代の清水はブレイクし、デビュー曲以降ヒットを続けている。少し前にデビューしていた田中ロウマは、その後しばらくは青山テルマや加藤ミリヤとのデュエット曲などを発表していたが、“ヒューチャーリング流行り”のその年、ロウマは「テルマやミリヤと組んだうちの一人」という位置づけから抜けられず、さしてブレイクしなかった。
【これじゃ売れない!】を書くようになって、ブレイクしないアーティストを探し続けているが、田中ロウマほど売れない理由が分からないアーティストを、記者は見たことが無い。彼が気になってCDとDVDを借りてきて再度確認してみたのだが、これらのコンテンツの中に納まる田中ロウマは、伊藤由奈の男版のようにアメリカナイズされ、ゲイ好みの美しい肉体と顔を持ち、抜群な歌とカルフォルニア仕込みのダンスを披露する、まるで韓流スター「ピ、改めRain」のようなオーラ? を持つアーティストだ。しかも、ライブではPVみたいに化粧もしてないし、純朴そのもの。尾崎豊の「I LOVE YOU」をカバーしていたが、陰気なこの曲を彼ほど爽快に歌える人は滅多にいないだろう。売れる要素はスゴイある。でも、昨年は何もリリースしてないし、あえてあんまり売らない気のようだ。
最近の田中ロウマは何をやっているのだろうかと調べてみると、ダンスと歌唱力を生かしてミュージカル『RENT』などに出ている。それはそれでいいのだけれど、まだ“その他大勢の出演者のひとり”として埋もれるにはちょっともったいない彼。「東方神起」があれだけ人気があるのなら、5人分の実力を1人でもっている田中ロウマは、上手くプロモーションすればもっと売れるはず。キングレコードがんばれ。エイベックスならもっと売れてるぞ。
まずはバツグンの二面性を生かして、韓流スターとして大々的に再デビューし、一方で別人の歌手として地道にライブハウスを回っててみるとか…。(それもそれで間違ってる気もするけど。)
(コアラみどり)
写真 ホレボレするような筋肉美。でもゲイご用達じゃないから!