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またしても大波乱 ヴィクトリアマイルはコイウタに軍配

 「第2回ヴィクトリアマイル」(JpnI 芝1600m 東京 13日)は12番人気のコイウタが1分32秒5(良)の好タイムで勝利。先週のNHKマイルCに続き、春の東京“GI5連戦”はまたしても大波乱の幕切れとなった。管理する奥平師、鞍上の松岡騎手は、ともにこれがGI初勝利。悲鳴にすら近い歓声の中、高々と拳を天に突き上げた若武者のパフォーマンスが印象的だった。
 NHKマイルCに続き、ヴィクトリアマイルも大波乱。12番人気のコイウタがゴール板を真っ先に駆け抜け、2、3着にもアサヒライジング、デアリングハートの伏兵陣が…。3連単は228万円超のビッグな配当が飛び出した。
 「馬場の内側は伸びないので」。ほぼすべての騎手が口にしていた言葉だが、逆にこれを利用したのが松岡騎手だった。
 「ボクも外に出そうとは思ったんですが、窮屈になりそうな雰囲気だったですからね。それで内に入れたんですが、ゴーサインを出してからはすごくいい反応をしてくれた」
 ペースが予想以上に落ち着き、逃げたアサヒライジングが2着に粘る前残り。さらに有力各馬は外々へ…。ここで躊躇(ちゅうちょ)していたら、アタマまであったどうかは分からない。瞬時に下したジャッジが、コイウタを栄光の頂へと導いた。
 もっとも、フロックとまではいえないにしても、有力馬たちが力を出し切れなかったのも事実である。「一瞬、来たかと思ったが、このペースでこの上がり。あれではさすがに厳しいよ」。9着に敗れたスイープトウショウの池添騎手がこう解説したように、後方からの馬は成す術なし。逃げたアサヒライジングに上がり3F34秒4を計時されては、上がり3F33秒6の鬼脚を発揮したスイープもお手上げだった。
 要はこのレースだけで、勝ち馬の評価を額面通り受け取るのは早計というもの。レース後、「海外へは?」との問いに奥平師は「それは未知」と答えたが、まさにその言葉通り、この勝利は“参考記録”といえる。
 むしろ評価を下すとすれば、勝ち馬でなく鞍上の若武者。皐月賞ではサンツェッペリンを2着に好走させ波乱を演出したが、とにもかくにもこの好判断に好騎乗だ。海外での武者修行を経て急成長を遂げた松岡騎手にこそ、世界での活躍が期待されるというものではないだろうか。
 初のGI勝利にも落ち着いた表情で「この時期の牝馬だから、カワカミにもスイープにも付け入るスキはあると思っていた」と答える松岡騎手。すでに風格すら漂い始めた22歳には、計り知れない可能性が感じられた。

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