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「おぐらが斬る!」日本人は本当にGHQに洗脳されたのか? されなかったのか?

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78年前、日本は米国を主とする連合国に負けた。敗戦後、GHQは日本人を改造し、二度と戦争を起こさないように洗脳教育をするため、「言論統制」「非軍事化」「民主化」「教育改革」などを行った。

日本国憲法第九条で日本が再軍備できないように縛りもかけた。いまでも日本の防衛はアメリカに依存し続けている。

GHQの6年8カ月に及ぶ占領が終わっても米国からの圧力と影響力は強く、日本人は「米国の洗脳がもっとも成功した国」とさえ言われるようになった。本当だろうか?

「米国の洗脳がもっとも成功した国」にしては、いま世界の共通語である英語、すなわちアメリカ語で日常会話が出来る人は少ない。中学高校と6年間も英語を学び、街中に英会話教室が満ち溢れているのに、日本人はロクに英語が喋れない。

では、日本人は米国が嫌いなのかというと、明治維新後から日本人は狂おしいくらいに米国とヨーロッパに憧れ続けてきた。

明治時代になり鎖国を解くと、日本人は欧米に笑われないようにするために、それまでの伝統的髪型であったチョンマゲを禁止し、洋装、洋食を推奨した。これを文明開化と呼び、脱亜入欧、つまり後進国のアジアから脱し、欧米列強の仲間入りを目指した。

これは政治指導者層が主導したが、庶民は大した抵抗なく受け入れている。明治維新後から現代に至るまで、日本人が欧米化に馴染まなかったのはキリスト教の普及くらいではないだろうか。21世紀の現代でも日本のキリスト教徒は、全国民のわずか1%程度なのだ。

GHQは、2度と日本が戦争をやらないように、軍国主義的なものを廃止したり、新聞などを厳しく検閲した。大日本帝国軍隊の解体、秘密警察の廃止、労働運動の育成、財閥解体、農地解放、国家神道禁止、軍国主義者らの公職追放、戦争犯罪人を裁いた極東国際軍事裁判、戦争放棄・平和主義・主権在民の憲法改正を行った。

「2度と戦争をやらない」という面では、2度と軍国主義化しないという意味で成功している。

日本人は1945年8月15日、昭和天皇の玉音放送を聴いて涙し、マッカーサーを大歓迎し、昨日までの軍国主義者がたちまち民主主義を受け入れた。

明治維新後に、欧米化を受け入れたがごとく。これは江戸時代以前、中国に憧れ中国の文化や制度を吸収していったが、どんなに中国の文化を吸収しても、中国のようにはならなかった。

同じく明治から現在にいたるまで日本国民は、欧米に憧れ続けているが多くを和風に変容させ、決して51番目の州にはならない。どんなに欧米人の影響を受けても、欧米人のように考え、行動することはしないしできない。

GHQの目的が「日本人らしさを失わせる」ことだとしたら、戦後日本人は大きく変容した。しかしそれはGHQだけの影響ではあるまい。

GHQの占領政策は、半ば当時の日本人が望んだものだったのではないだろうか?

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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