これまで日大アメフト部は学生アメフトの最高峰「甲子園ボウル」で21回優勝するほどの強豪であった。その栄冠にドロを塗ったのが、2018年の定期戦で、相手チームの選手に危険なタックルをして、全治3週間の大ケガを負わせた事件であった。
危険な反則を指示したとして、当時の監督やコーチは懲戒解雇、首脳陣は総退陣した。チームも公式戦出場停止処分を受けた。
日大アメフト部は、生まれ変わるために日大では異例のOBではない立命館大学出身の橋詰功氏が監督に就任した。
新監督となった当時の橋詰氏は「選手たちと一緒になって、一から新しいものを作っていけたら」と語っていた。だが伝統と過去の栄光に縛られた日大アメフト部で、最初は苦労したらしい。
そして監督就任2年目の2020年「甲子園ボウル」に出場するまでになった。ところが・・・
甲子園ボウル出場の立役者である橋詰氏は、2021年契約が3年であったことから、退任させられ、日大アメフト部は日大OBが監督となった。
そしてその同じ年、これまで日大を支配していた田中英寿元理事長が、脱税容疑で逮捕され、2022年有罪判決が確定した。
これら不祥事の改革のため、2022年7月に新たな理事長として就任したのが、日大出身で直木賞作家の林真理子氏である。
林真理子氏は就任時に「間違っていることは上の人に言う、そういう体質も作っていかなければ」と語っていたのだが・・・
8月3日、約20人の捜査員が5時間にわたって、日大アメフト部の寮を捜査した結果、覚せい剤の錠剤と乾燥大麻が見つかったが、問題はそれだけではない。
日大は、7月6日に独自に調査を行い、アメフト部の寮に違法薬物があることがわかっていたが、警察に知らせたのは2週間もたってからであった。この2週間、日大側は隠蔽しようとしたのか? 覚せい剤を使用して尿から反応が出なくなるまで10日から12日なのだ。
林真理子理事長は2日、「違法な薬物が見つかったことは一切ない」とキッパリと言い切っていた。
その翌日、寮に警察の捜査が入り、違法薬物が見つかった。
大学は2週間も前に寮に違法薬物があることを知っていた。
だが、そのことを林真理子理事長は知らなかったようだ。
林真理子理事長は「間違っていることは上の人に言う、そういう体質も作っていかなければ」と語っていたが、昔の体質は改善されていなかったというか、いまの状態をみると林真理子氏は、ただのお飾りであったと言われても仕方がない。
どうやら日大の体質は、悪質タックルの頃から変わっていないようだ。日大の闇は深そうだ。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。