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「住民にやさしい政治」を掲げて数々の改革を実行した泉氏。「12年間、奥歯に物が挟まっているようで、ずっとしゃべりたかった」という著書は、「本音トークで、生々しい部分も書かせていただいた」リアルな内容。「この本がもっと売れないと世の中は変わらない。アイドルの写真集に勝ってくれないと」と意気込んだ。
公職を離れて、「一つはほっとしています。市長は最終責任を負うので、災害や事件・事故で気が休まる時はなくて、酒を飲んでも酔っ払えないし、地元を離れても常に気にして、365日緊張感を持っていた」と在職時を振り返った。現在は「すごいハッピー。10歳にして明石を憎み、冷たい社会を優しくするための復讐に燃えて、50年かけて復讐を果たした思いがあります」と充実感を漂わせた。今後について、「明石でできたことは他の自治体でもできる。しっかり全国一律でやるべきだと思っているので、縦と横に展開したい。60歳で人生1周ですから、2周目の60年かけて取り組みたい」とさらなる飛躍を誓った。
課題が山積する国政には、「今の政治の良くない原因は官僚。官僚は責任を負うことはしないので、国民に負担を課すことしか考えない。マスコミも国民負担やむなしという論調は、どっちを向いているのかと思います」と手厳しかった。岸田文雄内閣総理大臣に対しては、「決断力がないわけじゃないし、一定程度聞く力もある」と評価。「防衛費の増額も決められるので、意外と即断即決できる人だなと。ただ、庶民感覚に疎すぎる。総理が決めれば官僚は従うんですから、決断力を発揮してほしい。まだ期待しています。総理、ご決断を」と国民目線の政治を呼びかけた。
尊敬する人物は「マザー・テレサ」。理由を「きれいごとだけじゃなくて、冷徹に目的を達成するリアルさは政治家に通じます。マスコミに何をすればいいかと聞かれて、『早く家に帰って家族と仲良くしなさい』って答えたんですよ。日常生活の延長上に政治も宗教もあるし、私もそう思うので」と共感を寄せた。一方で、「子どものころ憧れていたけど、自分は中途半端だから。結婚して子どもがいて家もあるし、そういう意味でセコいね」と自虐気味に話した。
(取材・文:石河コウヘイ)