ハワイ州ホノルルの高級ホテルで、銃を持った男が客室に立てこもり、拳銃自殺したと海外ニュースサイト『CNN』『khon2』などが4月11日までに報じた。
記事によると4月10日午後5時40分頃、ホノルル市内の高級ホテルから「男が銃を発砲した」と緊急通報が警察に入ったという。警察が駆け付けると、ホテル4階客室に、男が銃を持ったまま立てこもっていた。先に到着したホテルの警備員によると、銃声が聞こえたため男の部屋に向かったが男はドアを開けず。警備員らの呼びかけに対し、男はドア越しに発砲したそうだ。警察は男に投降するよう10時間にわたり説得を試みたが、男は持っていた銃で頭を撃ち、自殺したという。
後日、男は同州カイルア市に住む40歳の海軍所属の男と判明した。男の家族らも、同ホテルに宿泊していた模様。家族らは、投降するよう男に呼びかけていたとの情報もある。同ホテルは一時騒然となり、100人近い宿泊客全員を宴会場に集め、避難させたそうだ。本件によるケガ人は報告されていない。警察は、事件の動機も含め、関係者に話を聞いて捜査を進めているという。
「ニュースを聞いて驚きました。ハワイでは、アメリカ本土で起こるような銃撃事件は、ほぼ発生しません。そもそもハワイでは、銃の入手が簡単にできません。事件の犯人は海軍の人。銃を持っていたでしょうし、一般人とは違います。海軍は任務が過酷だと聞いています。精神的なものが重なって、自殺しただけではないでしょうか。犠牲者が出なくて良かったです」(ホノルル地元住人)
悲惨な銃撃事件が絶えないアメリカは、銃の規制がないと考える人も少なくない。実際、銃規制は存在するが、州法の権限が強いアメリカでは、州によって規制の内容が大きく異なる。その中でも、ハワイ州は銃規制が特に厳しい州として有名だ。
ハワイ州内で銃を所有するためには、警察発行の「許可証」を取得する必要がある。ホノルル警察ホームページ掲載の「許可証取得要綱」によると、外国人は取得不可、年齢は21歳以上、所持する銃の登録、講習の受講などが必須だ。さらに、許可証の有効期間は、ライフルが1年間、ハンドガン(小型の銃)は10日と短く、その都度定期的に更新手続きが必要だという。許可証の有効期限内であれば、何丁でも銃を購入、所有できるが、新しく入手した銃はすべて警察に登録する必要がある。
>>ホテルの鍵を忘れて閉め出されてしまった女性、浴室の窓から侵入するも首が挟まって窒息死<<
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)発表の統計「銃器による死者数」によると、ハワイ州内では2019年の1年間で、62人が銃により亡くなっている。これは全米50州のうち、2番目に少ない死者数だ。最も少ないのは、ロードアイランド州の48人。アメリカ国内だと、ハワイ州は、銃がらみの事件は少ない州と言える。しかし、銃による死者が極端に少ない日本と比較すればもちろん多い。警視庁の資料「銃器による死者数」によると日本国内の年間死者数は、2019年は4人、2018年は2人だけだ。
「ハワイでは、銃を販売するお店自体をあまり見かけません。私はカリフォルニア州に住んでいましたが、大手スーパーで普通に銃を売っていました。ハワイは治安が良く住みやすいです。人種差別を感じたこともないですね。ハワイではアジア系住民が多数派なので、日本人は目立ちません。ハワイ州知事も日系人ですし。移住者が狙われた話も聞いたことがないです。ただ、観光客が金品を奪われたり、暴行を加えられるケースは毎年発生しています。夜中は出歩かない、危険な地域には近づかないなど、最低限の注意は必要でしょう」(ホノルル在住日本人)
ハワイは、全体的に治安は良く、過度に心配する必要はないだろう。しかし、ハワイも外国で、日本と事情が異なる。治安の悪い場所など事前に情報収集して、自分にできる対策は取るようにしたい。
記事内の引用について
Standoff at Honolulu hotel ends as armed man kills himself, police say(CNN)より
https://edition.cnn.com/2021/04/11/us/kahala-hotel-shooting-hawaii/index.html
Police say man shot himself after hours-long barricade situation in Kahala Hotel and Resort room(khon2)より
https://www.khon2.com/local-news/police-say-man-shot-himself-after-hours-long-barricade-situation-in-kahala-hotel-and-resort-room/
Firearms - Apply for a Permit(ホノルル警察)より
https://www.honolulupd.org/information/firearms/
Firearm Mortality by State(アメリカ疾病予防管理センター)より
https://www.cdc.gov/nchs/pressroom/sosmap/firearm_mortality/firearm.htm
日本の銃器情勢(警視庁WEBサイト)より
https://www.npa.go.jp/bureau/sosikihanzai/yakubutujyuki/jyuki/jousei/R02juukizyousei.pdf