花粉症のなかでも、特に多いのはスギ花粉であろう。東京都が2016年に実施したスギ花粉患者実態調査によると、東京都内のスギ花粉症有病率は48.8%と推定されるという。東京都民の2人に1人はスギ花粉に悩まされている計算だ。日本全国となると地域差が大きいようだが、多くの人がスギ花粉を発症していることは間違いなく、今や国民病とも言えるだろう。
スギ花粉症持ちにとって、天国のような場所とも言えるのがハワイだ。温暖な気候のハワイでは、そもそもスギが植えられていないため、スギ花粉自体が存在しない。日本で花粉症に悩まされている人がハワイに来ると、症状が収まって快適に過ごせるという人は多い。しかし、花粉症持ちでアレルギー体質の人は注意が必要だ。ハワイにも、南国ならではの花粉症が存在するからだ。
ホノルルの旅行会社「Hawaii Aloha Travel」のサイトに掲載中の「ハワイのアレルギー」記事によると、ハワイの地元住民の間では、マンゴー花粉が原因でアレルギーを発症する人が、それなりにいるようだ。マンゴーの木は、2月から5月にかけて花が咲き、花粉が多く飛散する。
マンゴーの花粉に触れたことがない人が、これらの花粉に少しの期間、触れただけであれば、アレルギー症状が出ることは「まれ」だという。ハワイの短期滞在であれば、そこまで気にする必要はないが、果物や野菜など食物アレルギーのある人や、花粉に敏感な人は注意が必要だろう。
「マンゴーの花粉が飛び始めると、すぐに分かりますね。鼻がムズムズして、くしゃみとせきが止まらなくなります。職場でも、街中でも鼻水をズルズルとしている人が増えます。私はヴォッグにもアレルギー症状が出るので、抗アレルギー薬は毎日服用しています」(ホノルル現地住人)
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もうひとつ、ハワイで注意したいアレルギー症状を引き起こす物質に、ヴォッグ(Vog)がある。ヴォッグとは、Volcano(火山)とSmog(スモッグ)の合成語だ。火山の噴火によって発生するスモッグで、大気汚染の一種とされる。30年以上前から噴火状態の続く、ハワイ島のキラウエア火山から発生する噴煙で、風に乗ってオアフ島や近隣の島々にも飛んでくる。ヴォッグの飛散はキラウエア火山の噴火状況に左右される。小康状態が続き風がなければ飛散は少ないが、爆発的噴火が起こった年は1年中、大量に飛散することになる。このヴォッグがアレルギー症状を引き起こし、ひどい時にはぜんそくの原因にもなるそうだ。
「私はスギの花粉症持ちです。ホノルルに住み始めてからアレルギー症状が出なくなり、快適でした。しかし、1年を過ぎた頃から、頭痛と鼻づまりのアレルギー症状が出始めました。病院で検査をしてもらった結果、ヴォッグに反応していることが分かりました。風が強い日や風向きによってはハワイ島からヴォッグが飛んでくるので、天気予報は必ずチェックしています」(ホノルル在住の日本人)
ホノルル市内の病院ストラウブメディカルセンターのアレルギー治療専門医師は、花粉症持ちの人がハワイに来ると、症状が悪化する人もいると医療機関ハワイパシフィックヘルスの取材に答えている。「ハワイは一年中温暖な気候。四季がないため、何らかの花や植物が1年中、花粉を飛ばしている。そもそもアレルギー持ちの人は、免疫機能が敏感で、ヴォッグなど他の物質にも反応しやすい」と話している。
スギ花粉などのアレルギー持ちの人は、ハワイ旅行の際には、念のため、飲みなれた抗アレルギー薬を持参するようにした方が良さそうだ。
記事内の引用について
花粉症患者実態調査報告まとめ(東京都庁ホームページ)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/12/18/14.html
Ahh Choo! Allergies in Hawaii(Hawaii Aloha Travel)より
https://www.hawaii-aloha.com/blog/2013/03/09/ahh-choo-allergies-in-hawaii/
Why Allergies are Nothing to Sneeze At(ハワイパシフィックヘルス)より
https://www.hawaiipacifichealth.org/healthier-hawaii/be-healthy/why-allergies-are-nothing-to-sneeze-at/