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名医・博士の健康術 ★今週のテーマ 気になる症状を緩和する「中指もみ」

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提供:週刊実話

 体全体の症状に対応した“中指もみ”は、加齢臭・糖尿病・認知症の予防もできる!!

 韓国に伝わる「高麗手指鍼」という治療法には、「手の中指には全身の臓器や器官に対応している『反射区』が存在する」という考え方がもと。不快な症状に見舞われた際、その原因となる臓器や器官に該当する反射区(左ページ、上の図参照)を1回10秒程度刺激する「中指もみ」をするだけで、症状の予防や改善が期待できるのだ。

 しかし、なぜこのような健康効果があるのか?

「中指もみ」の考案者である倉敷芸術科学大学客員教授で鍼メディカルうちだ院長の内田輝和先生は、そのメカニズムについて次のように話す。

「中指にある反射区を刺激すると、そこに対応する部位の血流がよくなります。そうなると筋肉が軟らかくなり、凝りがほぐれ、肩こりや関節痛が緩和されるのです。血流がよくなることで血管の老化防止にもつながり、高血圧や糖尿病、脂質異常症などが改善に向かいます。さらに、脳梗塞や心筋梗塞の予防も期待できます」

 即効性があるのも中指もみの利点で、内田先生の治療院でも、開始から1分ほどで「体が温かくなった」「肩の痛みが軽減した」などの効果が出た人がいたという。ただし、慢性化した関節痛や神経痛、病気(高血圧・高血糖・難聴・頻尿・ぜんそくなど)は、効果を実感するまでに数週間から数カ月を要する場合がある。そのため、効果を焦らず、じっくりと毎日続けて取り組むのが大事だ。

★自律神経も整えてくれる

 さらに、中指もみには自律神経(自分の意思とは無関係に血管や内臓の働きを調整する神経)のバランスを整える効果も期待できる。中指には「マイスナー小体」という、触覚を感知する感覚器官があり、ここから「冷たい」「熱い」などの情報が脳へ送られていく。こうした感覚の働きは中指が最も秀でているので、中指もみで全体を適度に刺激するとそれが脳に伝わり、自律神経を整えることができるのである。

「自律神経の乱れは様々な症状の一因にもなるので、中指もみは全身の健康維持のためにも非常に有効です。私は中指もみを施術に取り入れていますが、明らかに以前よりも治療効果が上がったと感じています。難しい技術は必要なく、誰でも簡単にできるので、ぜひ毎日の習慣にしていただきたいです。どのタイミングで行うかは自由ですが、時間帯でいえば、起床時と就寝前、日中も2回ほど行うのがお勧めです」(内田先生)

 中指もみは認知症やうつ、パニック障害、不眠といった精神的な症状の改善にも役立つ。

 例えば、認知症は脳の血流を促すことが予防と改善の糸口になるので、中指の先にある「脳」や「目」、「のど」など、頭部全体の反射区を刺激すると効果的だ。

 中指もみの基本的なやり方には、10秒間持続して刺激する「圧迫刺激」、反射区をリズミカルに爪で刺激する「振動刺激」、反射区を指の腹でもみほぐす「回旋刺激」がある。これらを症状や気になる体の部位などに合わせて使い分けることで、体の改善がはかれるのだ。

 他にも、中指もみには加齢臭や薄毛、肌荒れ、シミ、吹き出物などの予防・改善に役立つ。体の内側から積極的にケアをしていこう。

★中指もみで糖尿病を改善

 糖尿病は、インスリンという血糖値を下げるホルモンが十分に働かないことで血液中を流れるブドウ糖(血糖)が増える病気である。そのまま放っておくと血管がさらに傷つき、脳梗塞や心筋梗塞といった合併症を引き起こすので、早めの対処が肝心だ。

「インスリンを分泌するすい臓は胃と腸の間にあるので、その付近の反射区を刺激するのが大事です。また、腎臓も糖尿病の影響を受けやすいので、胃と腸の間にある『腎臓』の反射区ももむとよいです」(内田先生)

 最後に、中指もみはあくまで補助療法であって、主たる治療手段ではない。そのため、中指もみで症状が和らいだからといって病院の治療を中断してはいけない。必ず担当医の指示に従うようにしよう。

 また、中指もみをやってはいけないケースもある。中指をケガした人はもちろんだが、高熱が出ていると症状が悪化する恐れがある。ひとまず熱を下げることに専念することが大事だ。

◉目的に合わせて、対応する臓器や器官の位置を刺激!

【加齢臭】
加齢臭は、背中などの肌から酸化した皮脂成分が過剰に発生するのが原因。清潔を保つのはもちろんだが、中指もみで「背(背中)」と「肺」の反射区を刺激し、肌の皮脂腺に潤いを持たせるのがポイントである。口臭が気になる人は、「口」の反射区を刺激しよう。

(1)「背」の反射区に爪を立てて挟み、少しずつ移動させながらリズミカルに10回押す(振動刺激)。これを1分間繰り返す。

(2)「肺」の反射区の両側に爪を立てて、10秒押す(圧迫刺激)。これを1分間繰り返す。口臭が気になる時は、「口」の反射区も刺激する。

【糖尿病】
インスリンを分泌するすい臓の働きをよくするのがポイントなので、「胃」と「腸」の反射区の辺りを刺激することが、予防・改善の第一歩となる。また、糖尿病の悪い影響を受けやすい「腎臓」の反射区(「胃」と「腸」の間)も刺激するとよい。

(1)「胃」と「腸」の反射区に親指の腹を当てて、少しずつ移動しながら10秒かけてもみほぐす(回旋刺激)。これを1分間繰り返す。

(2)「腎臓」の反射区を両側から挟むようにして持ち、少し強くもみほぐす(回旋刺激)。これを1分間繰り返す。

【認知症】
アルツハイマー型や脳血管型などのタイプがあるが、いずれも脳の血流を促すことが予防や改善につながる。中指の先にある「脳」から「のど」まで、頭部全体の反射区をリズミカルに押し、刺激していこう。
(1)「脳」の反射区に爪を立てて、リズミカルに10回押す(振動刺激)。これを1分間繰り返す。
(2)「目」の反射区から「のど」の反射区まで、全体をリズミカルに爪を立てて10回押す(振動刺激)。これを1分間繰り返す。

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監修/内田輝和先生
鍼メディカルうちだ院長。岡山大学医学部麻酔蘇生学教室東洋医学研究班、倉敷芸術科学大学生命科学部健康学科教授などを経て、同大学鍼灸専攻客員教授。「1分もむだけ!中指もみ 101の症状に効く処方箋」(わかさ出版)など著書多数。

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