これに対し「しびれ」は、「ビリビリする」「ピリピリする」「ジーンとする」「鈍い感じがする」といった感覚を指し、脳・脊髄・末梢神経の障害や、血行障害、糖尿病、心因性などが原因です。
痛みに対しては、原因を軽減するとともに、腰痛ならば体操、心因性ならば心療内科との連携などをしつつ、様々な鎮痛薬を単独あるいは組み合わせて治療するのが一般的です。
一方、しびれについても、まずは原因が分かれば原因の治療を行います。例えば、血行障害が原因でしびれが起こる場合は血行を改善し、糖尿病が原因であれば、その治療に努めます。
ただし、しびれは痛みと違って、症状そのものを抑える薬は従来ほとんどありませんでした。近年開発された、神経が傷ついて起こる神経障害性疼痛の治療薬であるリリカやタリージェが、しびれに対して多少効果があります。ただし、しびれは痛みと違ってなかなか簡単には治ってくれません。腰の手術をして脚の痛みが消えても、しびれが残ることもしばしばです。原因がはっきりしない場合や、さほど大きな問題がない時は、しびれに慣れていくことも必要になってきます。仲良くしびれと付き合う感じです。
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監修/井尻慎一郎先生
井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPはhttps://ijiri.jp