神経痛は、炎症やケガが原因で起こるもの、神経そのものが何らかの原因で傷んでいる神経傷害性といわれるもの、原因不明・心因性の3つに分類されます。かつては、神経痛は炎症性として、ロキソニンやボルタレンといった非ステロイド系消炎鎮痛薬が治療薬として用いられてきました。
しかし、これらの薬剤では痛みがとれない場合があり、神経そのものが傷ついたり、変性したりして痛みを出すことが分かってきました。こうした場合は、神経障害性の痛みに専門的な効果がある「リリカ」「タリージェ」という薬や、抗うつ剤が選ばれるようになってきています。
また、神経痛に限らないのですが、原因が分からない痛みに対しては、痛みを受け入れながら運動療法を行う「認知行動療法」などが行われています。
神経痛を取り巻く環境は、この10年で劇的に変化しています。私も以前は非ステロイド系消炎鎮痛薬を第一選択薬にしてきましたが、今は患者さんの痛みの種類を見極め、それぞれに適した薬剤や治療を組み合わせて処方するようにしています。
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監修/井尻慎一郎先生
井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPはhttps://ijiri.jp