これらのサプリメントは、元々関節軟骨や関節液の成分で、たんぱく質の構成成分であるアミノ酸よりもはるかに大きな高分子でできています。そのため、服用後に腸から吸収して血液で運ぶのに、まずは小さな分子であるアミノ酸まで分解されます。その後、アミノ酸として腸から血液に吸収されたのち、細胞や器官に運ばれて再構築されます。
この時、どの食べ物が由来なのか、どのサプリメント由来のアミノ酸なのかは関係ありません。すなわち、「摂取したサプリメントに含まれる軟骨成分」がそのまま関節まで運ばれ、軟骨をつくったり、修復したりするわけではないのです。
グルコサミンやコンドロイチンといったサプリに関する調査・研究は世界各国で行われていますが、多くは軟骨再生の効果には否定的な見解を示しています。「痛みに関しては効果がある」とする論文がごく少数あるだけです。とはいえ、「サプリには医学的な効果が完全にない」と言い切っているわけではありません。私も亜鉛などを摂取していますが、さらなる明確な結論が待たれるところです。
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監修/井尻慎一郎先生
井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPはhttps://ijiri.jp