しかし、これらの薬は胃潰瘍などの胃腸障害や腎機能障害を生じる可能性があり、胃の弱い方や高齢者の方は、使い方に注意が必要です。
アセトアミノフェン系のカロナールは昔からある解熱鎮痛薬で、局所の炎症を抑える効果は少なく、痛みを脳で感じさせなくする薬です。胃腸障害が少ない代わりに鎮痛効果も少なかったのが、最近、処方できる量が増え、鎮痛薬として使うことが増えました。カロナールは肝機能障害がある方には要注意です。
欧米では非ステロイド性抗炎症薬の代わりに、医療用の麻薬の一種のオピオイドが近年よく使われています。これは脳や脊髄で痛みを感じさせなくする薬で、胃腸障害は少ないのですが、乱用の危険があり、最近、米国では問題になりつつあります。
その他、神経障害性疼痛治療薬としてリリカやタリージェ、慢性腰痛や変形性膝関節症に対してサインバルタという薬があります。局所で効くのではなく、脊髄で痛みを抑える効果を持ち、胃潰瘍などの胃腸障害もほとんどありません。
鎮痛薬は日々進化を遂げています。それでもそれぞれ特有の副作用のリスクはあるので、主治医とよく相談し痛みに応じた鎮痛薬を探す努力をしましょう。
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監修/井尻慎一郎先生
井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPはhttps://ijiri.jp