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「ゆるふわ」と「クラウド」と「テン年代」

 2000年から2009年までのゼロが2個並んだ10年間を「ゼロ年代」として括る風潮が、批評家や学生界隈にある。ごく一部にしか通用しない内輪ネタと看做されたりもするが、新聞や週刊誌・漫画雑誌などでも普通に目にするようになったので、それなりに流行しているように思える。
 その「ゼロ年代」の論壇をリードしてきたと目される批評家・東浩紀氏は、テレビ番組にレギュラー出演したり、ツイッターでの注目度も高いことから、彼の得意な哲学・文学・アニメに興味が無い人にも、有名人として認知されつつある。

 その「ゼロ年代」の次は「テン年代」との説が出始めていて、「天然」にも通じる言葉ゆえ、ユニークな言動が賛否両論を呼んだ鳩山由紀夫前首相の天然ぶりが象徴的との声もあった。
 さてゼロ年代のIT業界のキーワードが「IT革命」だったとすれば、テン年代は「クラウド」と言えそうだが、ファッションの世界では「ゆるふわ」という言葉も同時に流行していて、このふたつの性質は似通っているように思えるのだ。

 「クラウド」とは、時間のかかる計算をする際にスーパーコンピュータを使うのではなく、普通のPCが助け合って作業することでスパコン同等の能力を発揮させられる構想のことである。
 「クラウド」は「雲」に由来する言葉で、小さな粒子が寄せ集まり大きな雲に見えても実際はひとつの物質ではないことに似ているとして、名づけられた。
 そして「ふゆふわ」は、カッチリとキメ過ぎないファッションのコンセプトであり、それは空を漂う不定形な「雲」を指すのにも適した形容詞であると共に、「天然」の雰囲気が醸し出す癒し系のニュアンスにも通じる。

 かくして「テン年代」は「ゆるふわクラウド」の風潮と共に幕を開けたと考え、また機会があれば更に各分野別の具体的事象と関連付けつつ「ふゆふわクラウド」な感じで続けて行けたらと思っているので、以後お見知りおきを。(工藤伸一)

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