そう語るのは、都内でスナックを営んでいる28歳のA氏。10代から裏家業に手を染めてきた彼にとっても、 野球賭博は重要な“しのぎ”だったという。
「最初は、“高校野球トトカルチョ”からでした。馬券の野球版みたいな感じでしょうか。それから、野球賭博。そのシステムですが、これ、半丁じゃなく毎日全試合にハンデがつきます。阪神ー広島で、広島に0.5ハンデとか。これだと阪神にかけると2点差以上で丸勝ち、1点差で半勝ち引き分けで負け。細かくは違いますがその基本は一緒です。負けるときは自分は1週間で40万くらい、勝ちも同じ。会長とかはその5から10倍ですね」(同氏)
金額幅としては、テレビで相撲界の証言者の語る勝ち負けの額などとも似たり寄ったりのようだ。現在は「更正した」(同)というが、それにしても、企業の上層部との関わりもあるとは、驚きである。
「お堅い業界にも野球賭博は浸透してますよ。ぎ…ま止めましょうか」(同氏)
A氏は、胴元関係者に見えないから、相手も油断したはずだ。そこらへんも相撲界の証言に一致するのだが…。一種の手口なのだろう。
「自分のきっかけは、怖い人の妹に手を出しまして。追われた? っていうか…自分の店で働いてた子ですから別に…店のガラス割られたくらいです。その怖い人の妹と付き合っている間に彼女から野球賭博を教わってはじめたんですよ(笑)上からは『相手と仲良くなれ』って言われてました」(同氏)
(いまさら…。相撲界がかわいそうだ)などと思っている人も意外に多くいるだろうが、ただ、今回の話を聞きその裏付け取材が進むにつれて、あらためて問題の根深さを感じる。