好きになった人には、なんでもしてあげたい。そう思うようになったのはいつからだろう。でもそのおかげで、浮気されたり、都合の良い女として扱われたりと散々な目に遭ってきた。でも付き合うと、どうしても尽くしたくなっちゃうんだよね。一種の依存体質なのかも。
大学のサークルで知り合った1つ年上の彼と付き合って半年。誕生日の時に「なにかしてほしいことある。○○君のためならなんでもするよ?」って言ったら、彼はなんて言ったと思う? いきなりその場で
「美咲! 頼む! キャバクラ嬢になってくれ!」って土下座しはじめた。
冗談でしょって思わず苦笑いしたんだけど、どうやら本気だったみたい。それから、いかに自分がキャバクラ嬢を好きかってことを語りだして。確かに彼の家にはキャバクラ嬢と行為に及ぶシチュエーションのAVや、夜の世界を舞台にした漫画『嬢王』とかがたくさん揃っていた。今まで彼は何度もキャバクラに足を運んでて、キャバクラ嬢と付き合うのが夢だったみたい。でも相手だってプロ。簡単に落ちるわけがない。だから私にキャバクラ嬢になってほしいって言うんだよね。そんなバカみたいな事を恋人に言われたら、普通は別れるかもしれない。でも彼の事が本当に好きだったから言うとおりにしちゃった。
それで今は、昼は大学に通い、夜はキャバクラで働いてる。キャバクラの世界は自分に向いてるかどうかわからないけど、人と接するのは大好きだからそんなに苦じゃない。でも働いてて一番驚いたのは彼がいきなり客として店に来たとき。指名するのも他の子じゃなくて私だけ。いつでも会えるのに、わざわざ高いお金を払ってまでお酒を飲みにくるなんて理解できなかった。他の人にはバレないよう一定の距離を保ちながら話すんだけど、彼はそれが興奮するみたい。
仕事で着てるドレスも持って帰ってきて、彼氏の前で着てあげると子供みたいに喜ぶんだよね。変な関係かもしれないけど、彼が私のことを好きでいてくれるなら別にいいかなって。これからもキャバクラで一生懸命働いて彼の心を掴み続けます。
(取材・構成/篠田エレナ)