海外情勢
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社会 2022年10月17日 06時00分
日本旅行、条件が厳しい? ワクチン効果「根拠を示すべき」の声、訪日のため接種決意した外国人も
日本では「GoToトラベル」に代わる観光支援策として「全国旅行支援」が11日から開始され、ワクチンの3回接種かPCR検査等の陰性証明を条件に、旅行代金の割引や買い物や飲食に使用できるクーボンを取得できる。しかし条件を巡っては日本国内で批判的な声も上がっているようだ。ワクチンの接種回数や陰性証明の提示は諸外国でも一時はレストランの入店の際などに必要だったが、現在、海外はどのようになっているのだろうか。 日本の全国旅行支援に対しては好意的な声が多い一方で、一部のワクチン反対派からは「ワクチンを打たせることが目的」「非接種者への差別」という声が寄せられている。陰性証明がワクチン接種の代わりになるが「ワクチン未接種者だけが陰性証明書の提出求められてるけど、ワクチン接種済みの人にも提出させるべき。3回打てばかからんとでも思ってるのか」という批判的な意見がネットを中心に上がっているのだ。条件があることに対して不満を感じている人は少なくはない。 >>円安でヨーロッパからの観光客も増える?「日本では常にセール状態」 円安動画がTikTokで人気<< 実はワクチン接種回数や、陰性証明の提出が条件になることは日本だけではなく、海外でも過去に行われていた。ドイツではワクチンの2回接種、もしくはコロナ感染からの回復証明書か陰性証明書がなければレストランやスポーツ施設などに入れない時期があったが、州ごとに異なるものの、今年の春頃には全て撤廃。今後、来る冬に向けて変わる可能性はゼロではないが、現在はレストランの入店などにワクチン接種や陰性証明が必要なくコロナ前のような状態に戻っている。同様にフランスやスペインも、今年の春先には条件が撤廃された。 ドイツに入国する場合に関しても以前は条件があり、ワクチン2回接種か陰性証明の提出が必要だった。だがこちらも6月に全て撤廃されコロナ前と同じように証明等は不要で入国が可能だ。フランスもワクチン2回接種、もしくは陰性証明の提出という条件を8月に撤廃、スペインは日本から旅行する場合、最終接種日の14日後から270日以内のワクチン証明が必要(18歳未満は270日以降も有効)で、270日経過していた場合3回目以降の接種が求められる。有効期間内のワクチンが未接種の場合は陰性証明が必要である。 一方日本はというと、海外の人が日本に入国する際には「全国旅行支援」と同様に、ワクチンの3回接種か出発72時間以内に行った陰性証明の提出が義務付けられている。11日から水際対策が緩和されたこともあり、日本への旅行を考えている外国人も多いが、ワクチンの3回接種か陰性証明の提出という条件には疑問を感じずにはいられないようだ。 ワクチンを打たなければならないことに対しては、2回のワクチン接種は理解できるものの3回を条件にしていることに対して不快感を示す人も多い。とあるドイツ人は「3回は厳しい。3回目のワクチンの効果がどれくらいあるのか根拠を示すべきだしそもそも日本政府は効果のほどを知っているのか」と指摘。別のドイツ人も「ワクチン接種の回数で差別されている気分」と話し、「自分の周りの若い世代のほとんどは2回は接種したけど3回目、4回目の接種はしていないから対象にならない。表向きは外国人を受け入れているように見えて、実は外国人にあまり来てほしくないだけかも」と首をかしげる。 なお、ワクチン非接種者は陰性証明の提示という代替方法があるがこちらも「ハードルが高い」という。とあるフランス人によると、現在PCR検査を実施している場所は少なくなっているそうで街中や空港まで出なければならないという不便があるそうだ。場所が少なくなっているからか予約を取るのも難しく「日本は水際対策を緩和したと言っているけど、陰性証明を取ることがどれだけ大変か。自分たちの国から見たら日本はまだまだ閉鎖的」と不満を漏らす。またコスト面の問題もあるようで、とあるドイツ人は陰性証明書の取得に100ユーロ(約1万4000円)近く支払わなければならないと明かしていた。「私たちは家族4人分の陰性証明が必要でかなりの額になる。ワクチンを接種していない者は追加で費用がかかるのは差別だ」と語っていた。 一方で、そもそも条件を知らずに日本へ旅行しようと考えている人も少なくはないようで、トラブルも考えられる。とある在独日本人は、訪日の計画を立てているという知り合いのドイツ人が、ワクチン接種や陰性証明が必要だということを知らなかったと言い「今後、空港で搭乗を止められるケースも出てきそう」と不安を募らせる。本人のリサーチ不足もあるが「日本に旅行ができるようになったことはSNSでも広がっているが条件があることは知られていない」そうで、ヨーロッパを含め、多くの国が条件なしで旅行者を受け入れていることもあり「日本も同じであると勝手に思ってしまっている」と推測する。 時間やPCR検査の費用を節約するために、日本に行くだけのためにあえて3回目のワクチンを打つという人もいる。陰性証明を取るのは時間もお金もかかるが、今ドイツではワクチンは最寄りの薬局でも接種が可能なため「その方が手っ取り早いし、日本入国にトラブルもなさそう」とのことだ。 日本への旅行が可能になり胸を躍らせている外国人も多いが、まだまだコロナ禍以前のように気軽に訪日がかなうわけではないようだ。
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社会 2022年10月03日 06時00分
円安でヨーロッパからの観光客も増える?「日本では常にセール状態」 円安動画がTikTokで人気
政府はコロナ禍で制限がかけられていた1日当たりの入国者数の上限を、10月11日から撤廃すると発表。さらに急速な円安進行もあり、今後、多くの観光客が日本に来ることが予想される。 しばらく日本旅行の道が閉ざされていたヨーロッパでも、この円安の時に日本へ旅行に行きたいと考えている人は多いようだ。イタリアに住むイタリア人は「ヨーロッパ発のブランド品が、ヨーロッパよりも安く買えるという現象が起きている」と喜ぶ。ものにもよるが、財布は80ユーロ(約1万1200円)ほど安く手に入れられるといい、「今はブランド品を買うなら日本に旅行して日本で買いたい」と意気込む。 >>電気代高騰にSNSでも悲鳴、ドイツでは更に2、3倍に? 1日中電気をつけないなど深刻な状況に<< またドイツ在住ドイツ人は、「ドイツでラーメンを食べると円換算で2500円くらいするのに日本では1000円以下。少ない滞在費で充実した旅行になりそう」と胸を弾ませる。また別のドイツ人も食べ物や洋服がドイツより3割くらい安いイメージと明かし、「自分からしてみたら日本では常にセールをしている状態。ヨーロッパブランドの洋服が日本の方が安い場合もある」と強調した。ドイツでも小売店などで大規模な安売りが実施されるブラックフライデーが浸透しているが、円安による日本の物価の安さは「ブラックフライデーなんて目じゃない」そうだ。 こういった円安に対する歓喜の声はInstagramやTikTokでも盛り上がりを見せる。円安による宿泊費の安さや、ヨーロッパだと15ユーロ(約2100円)するパスタランチが、日本では同じようなものが7ユーロ(約1000円)で食べられるという動画が紹介されている。また、中には住宅の価格をユーロに換算し「今なら東京で一戸建てが買えるかも」と驚きの動画をアップするクリエーターもいる。 1カ月ほど前の入国緩和前にビザを取得して訪日したヨーロッパ在住者もいるが、その際も円安の影響は受けていたようだ。実際に訪日したとあるポーランド人は「日本でアップル製品のパソコンや日本製の電化製品を大量に購入した。日本製の電化製品はヨーロッパでも買えるが円安の効果もあって半額くらいの値段で買えた。パソコンはヨーロッパで購入するより300ユーロ(約4万2500円)ほど安かった。荷物の追加料金を支払ってもヨーロッパで買うより安くついた」と話す。ポーランドの物価は他のヨーロッパ諸国と比べると安いと言われているが、「ポーランドより日本の方が安いものも多かったし、少なくとも高いと感じるものはなかった」そうだ。数年前にも日本に旅行しているが「円安で価格が一気に下がって驚いた。当時は節約をしながら旅をしていたのに」と変化を語る。 また同時期に訪日したフランス在住フランス人は「ユニクロの安さに驚いた」そうだ。フランスを含めヨーロッパでもユニクロの店舗は展開されているが「こっちで買うより半額以下だった」と言う。 一方、一部のヨーロッパ在住者の間では日本がコロナの影響でしばらく入国を制限していたこともあり、日本で外国人が邪魔者扱いされないかと心配する声もある。こういった背景もありYouTubeでは日本人へ「外国人が日本へ来ることに対してどう思うか」という質問をし、英語字幕をつけて紹介している動画も多く上がっている。 50万人近くのチャンネル登録者数がいるYouTuberの動画では、インタビューを受けた高齢者の日本人男性が“もう外国人観光客を受け入れてもいい”“国内にいると感じないけど海外からだと円安の影響で買い物もしやすいし、外国人は日本に来た方がいい”と話していて、「観光客にオープンなようで安心した」「もっと反対されていると思っていた」「パンデミックでかなわなかったけどもう旅行の準備はできた。再び国境が開かれると聞いて興奮している」「日本人は優しい。観光に行くなら日本のルールに従って楽しみたい」というような声が寄せられている。 ヨーロッパでも円安が訪日に与える影響はかなり大きいようだ。日本で爆買いを計画しているヨーロッパ在住者も多い。これが今後の日本経済の活気に結びつけば日本にとってもいいことだろう。
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社会 2022年09月20日 06時00分
電気代高騰にSNSでも悲鳴、ドイツでは更に2、3倍に? 1日中電気をつけないなど深刻な状況に
原油の価格高騰やウクライナ情勢などの影響を受け、世界的に値上がりし続けるエネルギー価格。日本も例外ではなく多くの日本国民が価格上昇に苦しんでいて、ネット上では「電気代やばいですよね 5000円は上がってます」「やばい、2021年年間の電気代を9月半ばにして既に突破してしまった」「ボーナスは電気代に消えました」「8月の電気代12000円ておい」と恐ろしさを訴える声が多く上がっている。 とはいえ、日本より深刻な国の一つがドイツだ。ドイツの今夏のエネルギー価格は前年同時期より50パーセント以上上昇していて、最近の報道では来年、さらにその2〜3倍の価格になると言われている。ドイツではほとんどの国民がエネルギー節約モードに入っており、深刻で窮屈な生活をしいられているというのだ。 >>光熱費、物価高で国民に約4万円のボーナス ドイツ、賃金アップも不満の声が出る理由とは<< ボーイフレンドと2人で暮らす20代の女性は、電気代を節約するため真っ暗になるまで、できるだけ電気をつけない生活をしているという。現在ドイツは20時頃まで明るいためそれまでは電気を我慢し、20時を過ぎたら寝室に行き早めに就寝の準備をするか、キャンドルの明かりで過ごしているという。「向かいのマンションを見てもほとんどの人が電気をつけていない」そうで、多くの人にとって節電が普通になっていることがうかがえる。 ドイツでは賃貸住宅が多い。賃貸住宅の場合、月の光熱費の見込み額が前もって算出され家賃に光熱費が含まれている。しかし月々の家賃に含まれている光熱費の見込み額より使用量が多かった場合、年に一度、見込み額を超えた分の請求が来るシステムが多くの家で採用されている。女性によると電気をつけない生活で「月に100ユーロ(約1万4300円)は節約できていると思う」そうだが、年に1回の光熱費の請求におびえているそうだ。 夫と2人の小学生の子どもと賃貸住宅で暮らす別のドイツ人女性は、電気代節約のために「料理を1〜2日に1回にした」そうだ。ドイツはガスではなくIHクッキングヒーターの家がほとんどだが「少しの調理でもかなりの電気代になるはず」と、夕食はパンにチーズやハムなど電気の使用を避けたものが中心になりつつある。もともと夜にパンとチーズだけなど質素な食事をする習慣があるドイツ人だが「冬になると温かいスープなどを作りたいけど今年は電気代を考えたら難しそう」とさらに料理の機会が少なくなる見込みだ。小学生の子どもに持たせる軽食のパンも「電気代節約のために焼いていない」と言う。こういった努力によって月に50ユーロ(約7100円)は節約できていると推測している。 また一人暮らしをしているという30代の男性はシャワーの回数を減らしたり温度も下げて使ったりして「とにかくできることは全てしている」そうだ。掃除機も倉庫にしまい、「最近はもっぱら、ほうきとちりとりで掃除をしている」と話す。ペットを飼っており、冬になれば例年は部屋を暖かくしている。だが、今年は難しくなりそうだと明かし「ペットにまで寒い思いをさせなければならない」と肩を落とす。 各家庭だけではなく、政府としてもエネルギー確保に向けた省エネ規則を9月から課すことを決定し、社会全体が節約の雰囲気だ。規則の内容はよりエネルギーの使用が増える冬に向けたもので、「公共の建物内のオフィスの暖房は19度まで」「病院やケアセンターを除いた公共の建物では、手洗いに温水は使ってはならない」「22時~翌4時のイルミネーション広告の禁止」「店舗は外に熱が逃げないようにドアを常に閉めておく」などである。 できることは全てしているともいえそうなドイツ人の生活。今後、さらにエネルギー価格が上がるとなると、今以上の節約生活ができるかどうか不安に思っている人も少なくないことだろう。
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社会 2022年09月05日 06時00分
光熱費、物価高で国民に約4万円のボーナス ドイツ、賃金アップも不満の声が出る理由とは
世界的に物価の高騰が続く近年。ロシア・ウクライナ情勢の緊迫により光熱費は特に上昇している状況だ。日本では多くの国民が物価の値上げに不安を抱えているが、ドイツではすでに政府が国民の不安を和らげるための対策がいくつか取られているようだ。 ドイツの経済情報を発信している海外サイト『TRADING ECONOMICS』と『Business 2 Community』などによると、ドイツでの2022年8月の食品価格は前年同月よりも16.6パーセント上昇。エネルギー比も前年同月比で50パーセント以上上昇し、年間で最大5000ユーロ(約70万円)、月で割ると約416ユーロ(約5万8000円)多く支払うことになる可能性があるそうだ。ドイツも例に漏れず物価高の影響をもろに受けている国である。 >>コロナ禍の海外旅行、日本帰国時のハードルが高い? 現地で50万円近く支払うハメになった人も<< ドイツの場合、給与も同時にアップしており異常なインフレとは言い難いところもある。ドイツにおけるさまざまな統計を発表しているサイト『Statista』によると、ドイツの平均年収は年々上昇しており、2021年は2020年に比べて1321ユーロ(約18万4000円)上がっている。2022年2月の段階ではアルバイトの最低時給が9.82ユーロ(1371円)だったのが、今年7月に10.45ユーロ(1459円)に引き上げ。さらに10月からは12ユーロ(1675円)に引き上げられる予定である。しかしながら、ここ数カ月は物価上昇が著しく賃金の上昇も追いついていない状態だ。 そんな中、ドイツ政府は少しでも国民の経済的負担を和らげようとガソリンの価格が上がり始めると同時に、ドイツ全土に鉄道網を持つドイツ鉄道が運営する公共交通機関の激安チケットの販売を決定。ドイツでは、多くの場合、市内である一定区間は何回でも電車とバス、地下鉄が乗り放題のマンスリーチケットが販売されていて、そのチケットを購入することが一般的であるが、6〜8月までの3カ月間は1カ月9ユーロ(約1255円)で販売されていた。例えばミュンヘンで同様のチケットを購入した場合、通常であれば59.1ユーロ(約8242円)かかるため、かなりの節約になる。 それだけでは終わらず、政府はエネルギー高騰の対策として、雇用されているすべての市民に一人当たり300ユーロ(約4万1840円)の救済金を支払うことを決定した。支払いは9月中に行われる。救済金受け取りの対象者は従業員のほか、有休のインターンやミニジョブという時間制限の中で働いているアルバイトのような扱いの従業員にも支払われることになっている。働いていない年金受給者は受け取れない。さらに7月には物価上昇の救済策として子ども一人当たり100ユーロ(約1万3947円)を支払い済みだ。子どもと扱われる年齢は18歳までで、支払いにあたり特別な申請はいらない。 また企業として対策しているケースもある。ドイツで最大の鉄道会社ドイツ鉄道は、エネルギー節約支援金として従業員全員に100ユーロ(1万3947円)のボーナスを12月に支給することを確約。これは、ドイツ鉄道が従業員にオフィスビルの照明をこまめに消すことや暖房やエアコンの使用を控えること、エレベーターではなくエスカレーターを利用することなどを訴え、それを行う従業員に負担があるとして従業員一人当たり100ユーロを支払うというものである。モチベーションを上げるための施策ともいえ、もし12月までに予想以上の成果が見られた場合、ボーナスは150ユーロ(約2万920円)に値上げされる。 とはいえ、政府が対策を取っても市民からは安心の声が聞こえるわけではなく、むしろ「賃金が上がっても救済金をもらっても足りない。全然満足していない」「救済金はいらないから物価とガス代を下げてほしい」「働いている人しか300ユーロの救済金がもらえないなんて不公平だ」「年金をもらっているからといって救済金がもらえないのはおかしい」「ここまで物価が上がっては余裕がなく何もできない」という声もある。 ドイツではさまざまな救済策が取られているものの、まだまだ物足りないと思っている国民も多いようだ。世界的に物価高騰の影響を受けている今、各国で国民を安心させるための対策が望まれている。記事内の引用について「Germany Inflation Rate」(TRADING ECONOMICS)よりhttps://tradingeconomics.com/germany/inflation-cpi「Inflationssorgen sind zurück: So reagiert die EZB」(Business 2 Community)よりhttps://www.business2community.com/de/news/inflationssorgen-sind-zurueck-so-reagiert-die-ezb「Höhe des durchschnittlichen Bruttolohns/ Bruttogehalts im Jahr je Arbeitnehmer in Deutschland von 1991 bis 2021」(Statista)よりhttps://de.statista.com/statistik/daten/studie/161355/umfrage/monatliche-bruttoloehne-und-bruttogehaelter-pro-kopf-in-deutschland/
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社会 2022年08月22日 06時00分
コロナ禍の海外旅行、日本帰国時のハードルが高い? 現地で50万円近く支払うハメになった人も
コロナ禍になり約3年。今年は、久しぶりにお盆休みに遠出をしたという人も多いようだが、同時にそろそろ海外に行きたいと思っている人も少なくはないようだ。『日本経済新聞電子版』(日本経済新聞社)に掲載された7月5日のプレスリリースでは、年内に海外に行きたいという人が約6割いると旅行会社「株式会社旅工房」が伝えている。 実際、多くの国が観光客を受け入れ始め、入国前の手続きもかなり少なくなり、海外に行くこと自体が難しい時期は過ぎ去ったといえよう。例えばアメリカは、入国前のPCR検査の実施は撤廃され、ワクチンを2回接種していれば入国が可能だ。入国後の隔離はない。ドイツにおいてはPCR検査もワクチン接種証明書も不要で入国後の隔離も不要である。世界ではすでに各国がコロナ禍前のような状態に戻っているのだ。 >>日本がコロナ感染最多を記録する一方で、日常が戻る欧州「もうコロナ禍は終わった」の声も<< ただ、問題は日本に帰国する時である。他国に入国することが容易になっている一方で、日本に帰国する際のハードルは高い。日本に入国するには現地出発前72時間以内に受けたPCR陰性結果の証明書が必要で、それがなければ搭乗自体できない。さらに日本は基本的に日本独自のフォーマットでの検査結果証明書を必要としているため、異国で規定のフォーマットで検査結果を受け取ることができる機関を探さなければならず、難易度が高いのだ。 また万一陽性だった場合、基本的には陰性になるまでその国に滞在しなければならない。感染リスクがほぼなくなっても陽性から陰性になるまでには2〜4週間かかると言われ、陰性になるまでその国にとどまらなければならないのだ。国によっては感染者専用の施設に滞在可能だが、現地の人ですでに埋まっていることもあり、重症でなければ提供を受けられる可能性は低い。大使館が宿泊場所を用意してくれるといったことも基本的にはない。なお、各国にある日本大使館が提示する条件をクリアすれば回復証明書の発行が可能で、日本に帰国ができるものの、発行までに時間がかかるケースも多い。 このようなことからSNSを中心に、多くのトラブルが報告されている。この夏、ドイツに旅行に行ったという男性は現地でコロナに感染し帰国ができなくなったとのことだ。ヨーロッパは夏はバカンスシーズンでどこのホテルも通常より高く、さらに円安という状況。男性は陰性になるまで3週間近く現地に滞在したが、ホテル代に加え飛行機のチケットの変更などでプラス50万円ほど費用がかさんだという。ドイツでは重症でない限り国が用意した施設や病院に泊まることはないため、自分でホテルや民泊などの隔離場所を用意しなければならない。男性は「ドイツでは一定の条件をクリアすれば隔離は5日間で、その後は外に出られたが、5日間は出前やルームサービスで過ごして食が合わず精神的にもつらかった」と話す。 またスペインでコロナに感染し足止めとなった男性は費用的な問題に加え、現地の日本大使館に電話をするもなかなかつながらず、どのような対応を取ればいいかと不安だったと話す。男性は「6時間近く待ったが、結局つながらず諦めた」そうだ。幸いにも男性はもともと滞在していたホテルに確認し、同じホテルで隔離することができた。大使館はできる限りの対応をしているようだが、同様の状況の人が多いようで追いついていないのが現状だ。 またアジア各国も観光客を受け入れ始めたこともあり、中でも韓国に行く人は多いようだ。韓国ではコロナ禍を経て観光での入国が可能になったものの、入国に査証(ビザ)を必要としていた。しかし8月4日から31日まで限定で日本からの入国者はビザなしで入国が可能となっている。入国前、入国後のPCR検査は必要だが入国後に隔離はない。気軽に韓国に旅行に行こうと考える人も多いようだ。 とはいえ、韓国も日本と同様にコロナの感染者が増大しており、現地で感染してしまうケースも珍しくはない。もし現地で感染したら7日間の隔離が必要で、もちろんその滞在費は私費である。国が隔離施設を提供してくれる場合もあるが、空きがないことが多く、さらに現地の感染者も多いことから空きの確認が取れるまでにも時間がかかる。韓国でコロナに感染してしまったという女性は、費用はもちろん、熱症状がありながら現地での対応にも苦労したという。「感染後、韓国の保健所に電話をしたものの、言葉が分からずきちんと伝えられたか心配。また着いてすぐに発症したため、一緒に行った友達を一人で過ごさせてしまった」と肩を落とす。さらにお盆休みを利用しての旅行だったが、日本帰国のめどが立たず「休み続けることになり、会社の人にも申し訳ない」と漏らしていた。 旅行先の国でコロナに感染し、対応に戸惑う人は多いようで、各国の日本大使館は「ホテルの延泊、フライトの変更、PCRテスト受検等の多大な金銭的負担が発生する可能性があり、事前の準備をするように」といった注意喚起を行っている。 諸外国は日本人観光客を受け入れる体制が整ってきているが、帰国へのハードルが高い限り、気軽に海外旅行に行ける、とはならないだろう。記事内の引用について「旅工房、「海外旅行に関するアンケート」を実施」https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP635844_V00C22A7000000/
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社会 2022年08月01日 06時00分
日本がコロナ感染最多を記録する一方で、日常が戻る欧州「もうコロナ禍は終わった」の声も
まだまだ猛威を振るっている新型コロナウイルス。27日には、WHO(世界保健機関)が日本の24日までの1週間当たり新規感染者数が約97万人で、世界最多だったと発表し日本人を驚かせた。猛暑日が続く中、マスクを外すかという議論が続いているが感染者数の推移を考えるとなかなか一筋縄ではいかないだろう。コロナ禍前の生活に戻るにはまだまだ時間がかかりそうだ。 一方、世界ではどうなのだろう。ヨーロッパの中でもコロナ規制廃止に慎重と言われていたドイツではすっかりコロナは忘れ去られた存在のようだ。ここ1週間、1日当たりの新規感染者数は9万人から14万人ほど。しかしピーク時は新規感染者数が60万人近くおり、15万人前後を何度も経験していることから、現地の人によると「特に驚きはない」という。ドイツは現在も新規感染者のカウントをしてはいるものの、土日は更新されず月曜が増える傾向にあり正確とは言い難い。検査数は10週間で25万回前後。こちらはコロナ流行時に検査をし始めた時期からあまり数は変わらない。現在も至る所に検査所があり、条件によっては無料で検査ができるため症状が出れば検査をするという人が多いのだろう。 >>ヨーロッパの海外旅行、人気は日本からタイに 「日本への興味は薄れた」の声、理由は<< 日常生活もすっかりコロナ禍前に戻っている。スーパーマーケットや飲食店では距離を空けるよう、床に1.5メートルごとにステッカーのようなものが貼られていた。だが今も貼られているものの守っている人はほぼいない。レストランはコロナ禍前のように机が密集した状態で並べられ、混雑時は人でごった返す。電車やバスなどの公共交通機関ではマスクの着用が必要だがそれ以外は不要で、街を歩いてもマスクをしている人を見かける方が珍しい。 先月までは対策のためかマスクをしてスーパーマーケットに入るお年寄りは多かったが、今はそんな光景もあまり見られない。着用義務がある公共交通機関でさえも、数カ月前まではマスクをしていなければ注意をされることが日常茶飯事だったが、今はマスクをしていなくても気にする人は少ない。 現地のドイツ人は「まだ感染者はいるものの、もうコロナ禍は終わったと思っている人の方が圧倒的に多いだろう」と話す。コロナを気にして日常生活を制限する暮らしはすっかり終わり「コロナを考えずやりたいことをやっている」と話している。さらに「今年に入ってから感染者数の数字も追っていない」と明かしていた。 実際、ニュースでもコロナ禍のニュースは明らかに減った。ゼロではないものの、興味が薄れているからかトップニュースで報じるほどではなく、毎日感染者数がニュースで流れるということもない。病床使用率が高くなっている、病院がひっ迫しているというニュースは少しはあるものの深刻な様子ではなく、前出のドイツ人は「今はバカンスの時期だから従業員が足りないのもあるのだと思う」と気にする様子はなかった。むしろ、隣国のオーストリアが感染後の隔離措置を8月から解除することが報じられ、ドイツでは隔離解除に慎重になるべきというニュースに批判の声があるほどだという。 また病院での対応も戻りつつある。コロナ禍前までは熱や喉の痛みがあった場合、病院で診てもらえない、もしくは陰性を証明してから診察を受け入れてもらえることがほとんどだった。しかし現地の日本人によると「今は空きさえあれば診てもらえる」そうだ。ただ、基本的には検査で陽性となり明らかにコロナに感染している場合は、特定の機関に連絡をし、症状が重い場合は検査機関の指示を仰ぐこととなる。州によっても異なるが基本的には特定病院ではなく最寄りの総合病院が対応する。 一方で、遅れてきたコロナ禍の弊害もあるようだ。ルフトハンザドイツ航空は、コロナ禍で従業員の約16パーセントを強制解雇したことで、現在働き手が足りていないという問題に直面している。ドイツではバカンスシーズンが始まるがルフトハンザ側が旅行の需要に対応する準備ができておらず、従業員不足による欠航が相次いでいるのだ。CA不足により機内で飲み物が提供されなかったり、荷物運搬の担当者が足りないため預けたスーツケースが届かないということも多々発生する。そんな中、従業員は賃金アップと限られた人数で仕事に対応しなければならないことへの不満を訴えるためストライキを実施し、さらなる混乱を生んでいる。 コロナにかからないようにすることは、もちろん大切なことだろう。しかしながら海外の生活を知ると、日常を取り戻していくことも大切なように感じられるだろう。
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社会 2022年07月19日 06時00分
エネルギー価格が6割上昇のドイツ、物価も高騰し家計を圧迫も不満が少ないワケ
ロシアのウクライナ侵略の影響で世界的にエネルギー価格が高騰している。日本でも電気料金やガソリン価格などがジワジワと上がり、家計を圧迫しているが、日本以上にエネルギー価格の高騰が顕著な国がドイツだ。 海外ニュースサイト『Reuters』や『Clean Energy Wire』によると、今年のドイツのエネルギーコストは、昨年に比べおよそ6割上がっているという。ガソリン価格も同様に2〜3割ほど上昇。エネルギーコスト上昇に伴い、家庭の電気代やガス代が家計をひっ迫していることはもちろんだが、パンやパスタ、植物油など日用品の物価の上昇も家計を苦しめる。 >>ゼレンスキー大統領に批判されたドイツ、国民の反応は? ドイツ首相にも批判の目が向いたワケは<< 現地に住むドイツ人は「物価は全体的に1.2〜1.5割ほど高くなったイメージ」だといい、ジワジワと上昇したというよりも「スーパーに行ったらいきなり上がっていた」という感覚だそうだ。一部のメーカーはホームページなどで値上げを公表しているが、「公表からすぐに値上がりしたように感じる。報道でも物価上昇は報じられていたが多くの商品が値上がりしたためどの商品が、と具体的に報じられることもなかった」と言う。一人暮らしならまだしも、家族の多い家庭では相当なダメージとなるだろう。ドイツではもともと節約上手な人が多いため、電気をこまめに消すなどエネルギーを節約する生活がすでに成り立っている。ここからさらに、というのは無理があるとも言えよう。 エネルギー価格高騰の背景には、ドイツが天然ガスや石炭、石油といったエネルギーの大半をロシアから輸入していたことが大きいだろう。ウクライナ侵攻に伴う経済制裁で、ロシア側からの天然ガスの供給が60パーセント減少した。それに加えてドイツは2011年に脱原発を決めており、よりエネルギー源を輸入に頼らなければならないという問題もある。原発の代わりとしてドイツでは太陽光発電や風力発電を強化してきたが、太陽光発電や風車が景観や自然を守るために建てられないなどの弊害もあり追いついていない。 生活水準が変わるといってもおかしくないほどエネルギー価格の高騰はドイツにとって深刻な問題だ。しかしドイツ人の反応は意外なものだ。ウクライナの現状を知れば、自分たちの価格の上昇はささいなことと受け入れ「もっと大変な人たちがいる。これくらいのことは我慢できる」「むしろもっとロシアに対して制裁をしてもいい」「今大切なことは、戦争に反対してやめさせること」という声が挙がっている。 一方で、「車で出かけることをほとんどやめた。少しは節約になったがいつまでも続けられないしこれからが心配」「例年、バカンスのために貯蓄をしているがそれが生活費に回っている。今年はバカンスに行けないだろう」「今年子どもが小学校に上がるが、このご時世で家計が苦しくカバンなど学校に必要なものは中古でそろえた」と本音を吐露する人も少なくはない。 ドイツの冬は厳しいが、ドイツ政府はエネルギー需要が増える冬場に十分なエネルギーを確保できない恐れがあるとして、既にエネルギー供給の緊急事態に備える警戒レベルを3段階のうち上から2番目まで引き上げると宣言している。状況はこれからさらに厳しくなるのだ。 政府は国民に一層の節約を求めているが、限界があるように感じざるを得ない。世論が今後変化していく可能性もあるだろう。記事内の引用について「German households feel the heat from rising power and gas bills」(Reuters)よりhttps://www.reuters.com/markets/commodities/german-households-feel-heat-rising-power-gas-bills-2022-01-04/「German households pay 52 percent more for energy than a year ago」(Clean Energy Wire)よりhttps://www.cleanenergywire.org/news/german-households-pay-52-percent-more-energy-year-ago
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社会 2022年07月04日 06時00分
ヨーロッパの海外旅行、人気は日本からタイに 「日本への興味は薄れた」の声、理由は
新型コロナウイルスの感染拡大によって世界各国で観光客の受け入れを停止していたが、今年に入り、多くの国がコロナ禍前の規制の水準に戻しているようだ。 日本も外国人観光客の受け入れを開始したが、人数を制限してツアー客に限定するなどハードルは世界の中でも高め。ワクチン接種の有無にかかわらず、出国72時間以内にはPCR検査の実施も必要になる。検査のフォーマットは日本が認めているものしか基本的に許可されていないため、日本式フォーマットを発行してくれる検査場所を探す必要があり、郊外に住む場合は日本式フォーマットを発行する遠くの検査場所まで行かなければならない。また観光客は必要な情報を事前登録する必要があり、自身が住む国の領事館とやりとりしなければならないのだ。こういった事情もあり、日本に旅行に行くことが現実的でない今、ヨーロッパでは日本への興味が薄れつつあるようだ。 >>マスク着用撤廃で、必要なくなったと耳を切り落とす 男性は全身の改造60回以上<< コロナ禍前、ヨーロッパでは日本への旅行が人気で、ドイツ在住の日本人は「日本の文化を気に入っている人は多く、毎年行くという人も珍しくはなかった」という。しかし現在、日本に行くにはハードルが高く気軽には行けない。ドイツ在住のドイツ人は、今は燃料代が上がって日本行きのチケットが高いこともあるが、それを差し引いても「日本への関心は薄れてきている」という。「いつか行けるかもしれないと思う時期は過ぎて、もう数年は日本への観光は無理だと思ったら興味がなくなった」と話す。 そんな中、新たに人気を博している国がタイだ。 タイは6月末まではワクチン接種に加え、「タイランドパス」と呼ばれる事前入国申請と保険の加入が必要だったが、7月からは両方が撤廃される。しかしながら、元から保険に入って旅行に行くという人も多く、元々大きな手間をとるものではなかった。さらにタイではマスクの着用義務が屋内外含めて解除されている。現在、ヨーロッパの多くの国で、公共交通機関など一部の場所を除いてマスク着用義務が解除されているため、ヨーロッパではすでに着用する習慣が薄れてきている。息苦しいため嫌う人も多く、義務が解除された影響は大きそうだ。 実際にヨーロッパからタイに旅行に行くという人は多いようだが、現地では観光客が嫌がられることはなくウェルカムの雰囲気だという。EU圏のニュースを発信する海外サイト『SchengenVisaInfo』は、タイ国民のおよそ69パーセントが今年の6〜9月にヨーロッパ諸国へ旅行する計画があるとヨーロッパの保険会社の調査結果を伝えている。自分たちも旅行への計画を立てており、一時の「観光客がウイルスを運んでくるかもしれない」という抵抗や不安はほとんどないのかもしれない。マスクについては着用義務が屋内含め全ての場所で解除されているものの、「観光客という立場もあってか、任意で着用している観光客も多かった」(6月末にタイ旅行に行ったフランス人)そうだ。 そんな中、日本への興味を失った人たちによる奇妙な現象も起きている。彼らはタイで吉野家やサイゼリヤなど日本のチェーン店の食事を楽しんでいるというのだ。タイに旅行したドイツ在住ドイツ人は「日本に行かなくても日本の食事がタイで食べられる。価格も日本とほぼ同じだし、これからもタイで日本を味わえばいいと思った」「多くのお客さんが欧米人だった」と言う。日本は現在円安で、観光客は来やすい環境であるが、「チェーン店の味がアジアの他の国で味わえることもそうだが、日本でしかできないことがアジアの他の国でもできるようになっている。円安だとしても他のアジアの国の方が全体的に安いからいい」と説明した。 一方タイで、「コロナ陽性者が増えたため通訳がいる病院が満床。旅行に来るにはある程度、覚悟した方がいい」とガイドなどから言われたという人も複数いる。なお観光地でも英語が通じないことも多く「病院に行く際のタクシーや薬局などでも苦労するかも」と心配する声もあるようだ。 まだまだどの国に行くにしても、多少のリスクを覚悟すべきなのかもしれない。しかしこのまま日本が観光客受け入れのハードルを下げなければ海外での日本に対する関心はどんどん薄れていくばかりだろう。記事内の引用について「69% Of Thai Plan to Travel to Europe From June to September This Year, Survey Reveals」(SchengenVisaInfo)よりhttps://www.schengenvisainfo.com/news/69-of-thai-plan-to-travel-to-europe-from-june-to-september-this-year-survey-reveals/
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社会 2022年06月20日 06時00分
BTSの米人気は主にアジア系の支持? コロナ禍後も続くアジア人差別、負傷者が出る事件も急増
日本時間6月1日、韓国の男性アイドルグループBTSがホワイトハウスに招待され、バイデン大統領と会談。新型コロナウイルスの感染拡大以降問題となっているアジアンヘイトの深刻さを訴えた。 アメリカの大統領が他国のアーティストをホワイトハウスに招くのは異例のことで、BTSの招待が決定した際は「アメリカで人気はあるけどほとんどがアジア系からの支持」「BTSと大統領のどちらにとってもただのPRだった」といった声もアメリカ国内ではあった。しかしながら、ただのPRとは到底言えないほど、特にアメリカではアジアンヘイトが重大な社会問題になっているようだ。 >>多額の誤送金問題、海外では「町側が無能」「人生を変えられた男性に同情する」の反応<< 海外ニュースサイト『Health Affairs』によると、連邦捜査局(FBI)はパンデミック以来、アメリカでアジア人に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)が2019年から2020年にかけ、前年比で77パーセント増加したと2021年8月に発表した。また、2020年3月から2021年6月までの期間に9000件を超えるアジア人に対するヘイトクライムが報告されたという。新型コロナウイルスの流行が顕著になった2000年の春頃は日本でもアジア人が海外で差別されていることが話題となった。それ以降、アジア人の差別に関して大きく取り上げられることはないが、新型コロナへの恐怖が収まりつつある現在でもアメリカを中心とした海外では深刻な問題であるようだ。 2022年5月には、アメリカ・テキサス州のコリアンタウンで、アジア系アメリカ人が運営するヘアサロンが襲撃され、3人のアジア人女性従業員が負傷する事件が起きた。海外ニュースサイト『AP NEWS』などの報道によると、36歳(一部報道では37歳)の男が銃を発砲したという。命に別状はなかったとのことだ。警察は男の動機について、「男は“アジア系人種が自身に危害を加えようとしている”という妄想を抱いていた」と明かしている。事件はヘイトクライムの可能性があるという。 またアメリカ・ニューヨーク州では連続してアジア人が攻撃される事件が2022年3月に起きている。海外ニュースサイト『NBC New York』などによると犯人は28歳の男で、1日で7件のアジア人襲撃事件を起こしたという。男は同州の通りで57歳の女性の顔を殴った後、その約10分後に別の通りで25歳のアジア人女性の顔と腕を殴った。その約5分後には別の場所で21歳のアジア人女性の顔を殴り、また約5分後に別の19歳のアジア人女性を殴るなどした。被害に遭ったのは19歳から57歳までのアジア系の女性7人でいずれも男と面識はなかった。警察はアジア人差別による事件と認めた 同じくアメリカ・ニューヨーク州では2022年3月に、42歳の男が年配の女性を100回以上殴る事件が起きた。海外ニュースサイト『Law & Crime』などによると男は、女性が家に入る瞬間に殴りかかり、女性に対して「アジアの犬」などと差別的な言葉を言ったそうだ。女性は顔の骨を折って重傷。男と女性に面識はないとみられている。警察が駆けつけた際、女性は血だらけで倒れていた。 事件が頻発し、アメリカ在住のアジア人からは「電車に乗った時に国に帰れと言われた。それ以降できるだけ電車は避けている」「道でつばを吐かれた。怖くていつも恐怖を抱えながら外を歩く」といった声が挙がっている。「アジア人だからといって嫌な思いはしていない」という声もあり、全てのアジア系がアジアンヘイトを恐れ、実際に被害を受けたわけではないものの、アジア人がコロナ禍前のように過ごすことができていないのは事実のようだ。 ニューヨークなどの大都市では、定期的にアジア人差別をなくすためのデモなどが行われ、人気子ども番組「セサミストリート」では初のアジア系キャラクターを採用するなど、問題を深刻に捉えた取り組みも進んでいる。 アメリカほどではないものの、カナダやフランスでもコロナ禍以降、アジア人というだけで差別を感じることが多くなったという声もSNSなどで寄せられている。当事者である日本人も、アジア人差別について今一度深刻に向き合うべき時なのかもしれない。記事内の引用について「COVID-19 Has Driven Racism And Violence Against Asian Americans: Perspectives From 12 National Polls」(Health Affairs)よりhttps://www.healthaffairs.org/do/10.1377/forefront.20220411.655787/「Dallas police: Shooting at Koreatown salon may be hate crime」(AP NEWS)よりhttps://apnews.com/article/crime-shootings-dallas-hate-crimes-201e2dbce94bdd6329e0df6d02b39ca1「Suspect in Anti-Asian Attack Spree Charged With Hate Crimes After Barricading in NYC Library」(NBC New York)よりhttps://www.nbcnewyork.com/news/local/crime-and-courts/nypd-arrests-person-of-interest-in-connection-to-string-of-anti-asian-attacks/3580177/「Man Punched 67-Year-Old Asian Woman 125 Times in Hate Crime Attempted Murder: Police」(Law & Crime)よりhttps://lawandcrime.com/crime/man-punched-67-year-old-asian-woman-125-times-in-hate-crime-attempted-murder-police/
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社会 2022年06月06日 06時00分
多額の誤送金問題、海外では「町側が無能」「人生を変えられた男性に同情する」の反応
4月8日に発覚した山口県阿武町での誤送金事件。ことの発端は、阿武町が新型コロナウイルス対策関連の給付金として4630万円を誤って同町に住む男性に振り込んでしまったことだ。最終的に男性は逮捕され、決済代行業者が支払いをして4300万円が町に返金されたとされている。 日本では連日多くのメディアがこの事件について報じていたが、海外ではどうなのだろうか。海外でも、アメリカやフランス、マルタ共和国といった国で一部メディアが事件について報じていたものの、日本のメディアのように男性の過去を深掘りすることなどはなく事件が簡単に紹介されていたのみだ。 >>著名人の死去報道、他国に比べ美化し過ぎている? 日本人の意識に苦言を呈す外国人も<< 日本の誤送金のニュースが海外であまり注目されていない理由の一つは、海外では誤送金がしばしば起こっているからかもしれない。2019年9月にはアメリカ・ペンシルベニア州でとある夫婦の口座に、銀行の手違いで12万ドル(約1559万円)が誤送金されたと海外ニュースサイト『BBC』などが報じている。夫婦は複数台の車などを購入し、12万ドルのうちのほとんどを使い切った。銀行の返金の求めにも応じなかったことから、夫婦は窃盗罪などで逮捕されている。 また2017年4月にはアイルランドで当時23歳のシングルマザーの女性が銀行からの誤送金によって5万1000ユーロ(約708万円)を受け取ったことが報じられた。海外ニュースサイト『Mirror』などによると、女性は2人の子どものために衣服や靴などを買ったほか、毎晩、友人や家族を招いて外食をしたそうだ。銀行側が女性に返金を求めたものの無視してしまい、女性は訴えられ有罪が言い渡されている。 さらには2017年9月、南アフリカ・ケープ州で、当時27歳の女子大生が、誤送金によって1400万ランド(約1億1718万円)を受け取ったと海外ニュースサイト『EWN』などが報じている。送金元は国の奨学金制度機関で、学生に誤って送金してしまったそうだ。学生は機関に報告することなく、誤って振り込まれた金でiPhoneを購入したほか日常的にパーティーをして過ごした。その後、機関は返金を求める手続きを行ったが、返金がされたのか情報はなく、学生が逮捕されたという報道も出ていない。 日本では誤送金のニュースが報じられた際、世論は誤送金を受けた男性の非常識さを責める声が多く、男性が“昔からお金に執着していた”と男性の非を大々的に報じるメディアも多かった。しかし海外では今回の日本の誤送金のニュースに対して、日本とは全く異なる反応をしているようだ。 ネット上では海外から「悪いのは誤送金した側」「町側が無能」「男性が責められている日本の報道を見るたびに驚かされる」「勝手に人生を変えられた男性に同情する」「男性側が名誉毀損で逆に訴えることもできるかも」といった声が挙がり、誤送金をした側を責める声が多い。一部では「自分のお金でないのに使うなんて愚か者」と男性を批判する声もあるが、多くはない。 また事件が解決する以前は「お金は返ってこないだろう」「男性がお金を使っていても驚かない」などの声があり、決済代行業者の支払いによるもののいくらかの金額が返ってきたことに対して驚きの声があるほどだ。 海外の反応のように、男性は誤送金がなければ違う平穏な人生を歩んでいたかもしれない。しかしながらどんな理由があろうと他人の金銭を勝手に使用することは許されることではないだろう。記事内の引用について「Theft charges for couple who spent $100k from bank transfer mistake」(BBC)よりhttps://www.bbc.com/news/world-us-canada-49643015「Single mum on benefits went on "massive spending spree" after bank accidentally deposited £43,000 in her account」(Mirror)よりhttps://www.mirror.co.uk/news/world-news/single-mum-benefits-went-massive-10160158「SIU TO INVESTIGATE WSU STUDENT AFTER R14M BUNGLE」(EWN)よりhttps://ewn.co.za/2017/08/31/siu-to-investigate-wsu-student-after-r14m-bungle
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