芸能ニュース 2023年01月27日 12時00分
黒羽麻璃央、共演の松井玲奈には「口喧嘩したら勝てない」? 主演映画は新境地、ミュージカル『刀剣乱舞』など舞台との違いも明かす
ミュージカル『刀剣乱舞』などに出演し人気の俳優、黒羽麻璃央が主演を務める映画『生きててごめんなさい』が2月3日公開される。 >>全ての画像を見る<< 映画『余命10年』などで知られる藤井道人がプロデュースし、山口健人が監督を務める同作。小説家になるという夢を抱き、出版社の編集部で働くも日々の仕事の忙しさに追われ、夢を諦めかけている修一(黒羽)と、その同棲相手である莉奈(穂志もえか)の心模様を描くヒューマンドラマだ。 修一が編集を担当する売れっ子コメンテーター・西川との出会いをきっかけに、莉奈が生き生きと働き始める光景を目にし、嫉妬心を抱く修一の姿などに、現代の日本の若者たちが抱える問題や闇が浮かび上がる。大手出版社の編集者・今日子役で松井玲奈が、西川役で安井順平が共演する。黒羽に本作の見所や、撮影の様子などを聞いてきた。ーー本作の見どころを教えてください。 黒羽:現代社会に生きる若者のリアルさを追求した作品です。ヒーローがいるわけでもないし、アクションがあるわけでもない。会社勤めをしている男の子とちょっと社会に不適合な女の子との出会いから始まって、その恋愛模様であったり、人間関係のリアルさを覗き見するような作品だと思います。見終わった後に、きっと自分に対してのご褒美として美味しいご飯でも食べるか、みたいな、そういう気持ちにさせてくれるような内容になっていると思います。ーーミュージカル『刀剣乱舞』などで活躍された黒羽さんなので、こういう役を受けたのが少し意外な感じがしました。 黒羽:基本的には体が空いていれば役にこだわらず、全て、どんな仕事でも引き受けるようにしているんです。これまでも自分から役を選んだことはないです。でも、今回の作品を通じて、普通の人を演じるのが一番難しいんだなって改めて思わされました。アクの強い役や、個性の際立っている役、キャラクターの強い役の方が掴みやすい部分があるんです。普通の街に馴染んでいるような男の子を演じるのは難しいなって。そういう男の子を演じることで、一般社会でみんなが抱えているような悩みや闇を知ることができた気もします。そういう部分でもこの作品に出演できてすごくよかったなって思います。ーー演じた修一に共感できる部分はありましたか? 黒羽:この子は自分がいないとダメっていう相手が身近にいることで、自分が安心できる感覚が、別に今の自分にそういう人が身近にいるわけではないですけど、理解できる部分があるなって思いました。自分に助けを求めてくれる相手がいることによって安心感を感じる……。相手に対してマウントを取るわけではないですけど、もしかしたら自分も無意識にそんなことを思っているのかなって、ゾッとする部分がありました。ーー共演者とは現場でどんな雰囲気で仕事をしていたのですか。 黒羽:穂志さんは基本的にカメラが回っていないところでも莉奈のような香りのする雰囲気を持たれていて、それってすごいことだなって思いました。お芝居もすごく素敵で勉強になりました。見習わないといけないところが同じ役者として多かったです。松井さんとは一度共演したことがあって、その時は婚約者の役。今回は先輩の役。お酒を飲むシーンとかは艶っぽいというか色ぽいというか、さすがだなと思いながらご一緒させてもらいました。芯がすごくある人なんだろうなって思う部分もあって、例えば口喧嘩したら勝てないタイプだなって。そういう印象を持ちました。ーー修一を演じる上で難しさはありましたか。 黒羽:リアルな空気感を出すのが大事な作品でした。僕は舞台での演技が多かったので、舞台っぽい表現のパーセンテージをそぎ落としての演技を心がけました。その部分では山口健人監督にアドバイスをもらいながらの演技でした。ご指導をいただいて勉強になる部分が多かったです。ーー作品を撮り終えた後はどんな感想を持ちましたか。 黒羽:この作品はちょっと特殊。しんどい思いをするシーンが多かったので、ようやく自分の手を離れたという気持ちが強かったです。達成感や寂しさもあるんですけど、今回の修一は負の部分が多い役なんです。役に引っ張られる部分がたくさんありました。ーーこの作品をどういう方に観てもらいたいですか。 黒羽:いろんな人に観てもらいたいです。でも、みなさん、表には出さないけど、生きていて嫌になることがたくさんあると思うんです。そういうことを抱える人に特に見てもらいたいです。この作品のキャッチコピーにもあるんですけど、「きっと大丈夫多分。」って言葉はすごく素敵な言葉だと思うんです。結果や結論に対して、「大丈夫。多分。」というのは、断言していないところがいいなって思うんです。この言葉でふっと力が抜けるというか、柔らかい雰囲気にさせてもらえる気がするんです。観終わった後に自分に対して、「日頃頑張ってるな俺、なんか美味いもの食いに行こう」って。そういう風になってもらえたら嬉しいです。自分でも仕上がった時にすごく素敵な作品になったと思ったんです。ーーミュージカル『刀剣乱舞』のような舞台のエンタメ作品からこういった人間ドラマを描く映像作品まで幅広い作品に出演されてきて、役者としての成長を感じる部分はありましたか。 黒羽:デビューがミュージカル『テニスの王子様』で、そこからミュージカル『刀剣乱舞』という作品に出会って、そこでは一から鍛え直すという部分から始めてたんですけど、そこから宅間孝行さんの「タクフェス」に参加させてもらって、芝居って相手と作っていくもんなんだっていうことを学んだりもしました。役者としての成長を語るより、まず人との出会いに恵まれたなって思います。師匠というか先生のような人との出会いがあって、いろんなことを教えてもらう機会に恵まれたんです。振り返ると、役者としてもう10年経つんですけど、作品と人に恵まれた10年間だったなと思います。この作品の山口監督との出会いもそうです。自分は運があったなって思います。ーー10年の俳優キャリアを経て、今後はどういう役者をめざそうと思っているのですか。 黒羽:すごいやつっているじゃないですか。引き込まれるというか。そういう引き込める役者、やばいなって表現力を持つ俳優になりたいです。今年30歳になるのですが、そこからは力のある人しか生き残れないと思うんです。若くて活きのいい人がどんどん現れてくる。それに負けないような力を持った、説得力のある俳優をめざしたいです。ーー将来やってみたい役はありますか。 黒羽:明確にはないです。役に関しては、これまでも、これをやりたいって言っていたら叶ったという経験が多くて。ここからはこういう役というより、こういう作品をやりたいっていうことを叶えていきたいです。僕は仙台出身なんですけど、東北の震災を一番近い場所で体験したんです。何か、それを伝えたいという気持ちや作品に残したいという思いがあります。震災のような問題は、語られないと、どんどん風化していってしまう。それはいけないと思うんです。そういう問題を扱う作品をやってみたいです。声を上げないと作られないものだし、俳優は基本役を与えられる側なんですけど、与えられるだけでなく自分が生み出して作り出していかないといけないなって思うようになったんです。そういう風にしないといつか壊れてしまうんじゃないかって。自分が伝えたいもの、やりたいと思える作品に今後挑戦していきたいです。(取材・文:名鹿祥史)ヘアメイク:有村美咲スタイリスト:ホカリキュウ『生きててごめんなさい』2月3日(金)よりシネ・リーブル池袋、ヒューマントラストシネマ渋谷、アップリンク吉祥寺ほかにて全国順次公開出演:黒羽麻璃央 穂志もえか松井玲奈 安井順平 冨手麻妙 安藤聖 春海四方 山崎潤 長村航希 八木アリサ 飯島寛騎監督 山口健人 企画・プロデュース 藤井道人公式サイト:https://ikigome.com/