「令和元年に間に合ってよかった。3月の上腕二頭筋断裂、秋場所の小指の骨折を乗り越えてきた。勝って優勝を決めるのはいいもの。終わってみればね」
ところが、一部からは「汚い相撲のオンパレードだった」という声も聞こえる。何しろ、肘打ちのような張り手、かち上げが15日間のうち、半数以上もあったからだ。
とりわけひどかったのは、12日目の遠藤戦。立ち合いにいきなり右から顎を目がけて強烈な肘打ち。さらに左、右とボクシングのフックのような張り手を連発し、KO寸前に陥ったところを難なくはたき込んだ。ケンカまがいの攻撃で膝から土俵に落ちた遠藤は、鼻から激しく出血していた。
優勝を決めた直後、NHKのインタビューの中で、この品格のない相撲について問われた白鵬は、澄まし顔でこう答えてみせた。
「今場所、テッポウがいつもより多かったので。そのへんが利いたのかな。私は、テッポウは手の四股だと思っていますから」
確かにルール違反ではないが、白鵬は2年前にも横綱審議会委員から「肘打ちは見たくない」と厳しく注意を受けている。この直後は自粛していたものの、最近、また肘打ちをやり始めた。まったく懲りていない白鵬に、ある親方は次のように警告を発する。
「どんなに汚い手を使っても勝てばいい、というのが白鵬の信条ですからね。逆に、それだけ余裕がなくなってきているとも言えます。けど、ヤラれた力士はちゃんと覚えていますからね。いずれ、何かの折に、このお返しをするんじゃないですか。例えば、引退して親方となったときの理事選などで。白鵬の理事長誕生、厳しいんじゃないかな」
奢れる平家は久しからず。