「海外FA権を行使しての挑戦であれば認めざるを得ないというのが、これまでの巨人の考え方でした。その基本方針は変わりません。でも、山口のように最多勝利、最多奪三振、勝率1位と“投手三冠”に輝くなど、チームに大きく貢献した選手には、これからは認めていくことになったようです」(球界関係者)
DeNAに所属していた山口は’16年オフにFA宣言した。巨人の球団幹部とはその交渉中から、「将来の米球界挑戦」が語られていたという。しかし、今回は単にその約束が果たされたのではない。「チームの優勝に貢献してくれた」と巨人側が認め、応援する気持ちに変わったのだ。
「11月27日のオーナー会議でも話題になっていました。これでポスティングを認めていない球団はソフトバンクだけ。こちらは千賀滉大を巡る波乱も起こりそうです」(ベテラン記者)
今季、腰痛で菅野が抜けた穴を見事に埋めたのが山口だった。そんなリーグ優勝の立役者の挑戦を認めるとなれば、来年、菅野が同じような活躍を見せたら「NO」とは言えなくなる。本人も、復活はもちろん、フル回転するだろう。
また、こんな情報も聞かれた。令和のプロ野球界は、ドラフトとポスティングを“セット”で考えなければならない、と。
「ロッテ・佐々木朗希の指名を思い出してください。あれだけ日本中が大騒ぎとなり、11球団が指名前の面談をやったにもかかわらず、実際に1位で入札したのはパ・リーグの4球団だけでした。この4球団とも、すでにポスティング移籍を経験しているんです」(前出・球界関係者)
つまり、佐々木は「12球団OK」と表明したが、本当は違ったのだ。将来のメジャーリーグ挑戦を、それも早く応援してくれる球団を熱望したのである。
このように巨人の方向転換は、時代の流れでもある。
「今オフ、巨人のFA補強の失敗は、情報不足が原因とされています。美馬学、鈴木大地に対してはダメモトで挑戦した感も否めません。ポスティングを認める代わり、今後いっそうFA補強しなければ、常勝チームは作れません」(同)
今季の巨人で、2桁勝利を挙げたのは山口と菅野だけだ。その山口が抜け、来年には菅野も…。
巨人は、菅野の後継者育成を急がなければ、チームが崩壊してしまう。原辰徳監督のクビが危ない。