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高校野球 センバツ交流戦そっちのけ大阪桐蔭vs履正社、秋季大会に暗雲

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提供:週刊実話

新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になった今春のセンバツ高校野球。その大会に選出されていた32校が「1試合」だけ争う「2020年甲子園高校野球交流試合」が行われたが、そこで“異様な光景”が色々見られた――。

 この交流試合では、くじ引きによって対戦カードが決められた。そして、大会4日目の8月15日には、昨夏の甲子園大会決勝戦、履正社(大阪)対星稜(石川)の一戦が再現された。

「大阪桐蔭対東海大相模(神奈川)、智弁和歌山対尽誠学園(香川)など有名校同士の好カードも多く、高校野球ファンも楽しめる大会でした」(スポーツライター・飯山満氏)

 しかし、コロナ禍がもたらした異様な光景は、グラウンド内外で見られた。

「開会式は開幕試合を戦った大分商と花咲徳栄(埼玉)の2校だけが参加。入場行進はなく、選手宣誓は両校の主将2人で行われました」(スポーツ紙記者)

“3密”を防ぐための措置である。開会式についてもっと言えば、両校の登録選手がベンチから出て、内野に横2列に整列。バックスクリーンのビジョンに出場校の写真が映し出されたが、例年なら白系の夏服で埋めつくされるスタンドはガラガラで、ブラスバンドも応援団の声援もナシ。観戦チケットも販売されることはなく、出場校の控え選手と家族がその試合中だけ、間隔を空けて座っていた。

「取材も、抽選による代表者質問に限られました。試合前のノック音、捕手の捕球音、金属バットの乾いた音はもちろん、攻守交代時の監督の指示が記者控え室まで聞こえてくることもありました」(前出・飯山氏)

 12球団のスカウトの入場は許されたが、「1球団2名まで」という制限付き。どのスカウトも「間隔を空けて座るように」と指示を受けていたからだろう。「ネット裏に陣取って」ではなく、スタンド後方からグラウンド全体を見ているような雰囲気だった。

 しかし、異様な光景はこれだけではない。「何球団かのスカウトが、試合途中で席を立った」(関係者)というのだ。

「それは大会初日(10日)、第2試合の途中でした。行き先は大阪シティ信用金庫スタジアム。同日、大阪の独自大会で大阪桐蔭と履正社の試合があり、それを視察するためです」(同)

 甲子園よりも地方大会…。甲子園では、明徳義塾(高知)と鳥取城北の熱戦が繰り広げられていたが、地区代表校同士の試合よりも大阪府大会に興味をひかれたというわけだ。

 大阪桐蔭、履正社も“夏センバツ”に選ばれている。両校にはプロ注目のドラフト候補がたくさんいるためスカウトも苦渋の選択だったのだろうが、「甲子園よりも地方大会のほうが上」になったのは、初めての光景だった。

「巨人、ヤクルトなどは、日替わりで甲子園を視察するスカウトを入れ換えています。対照的に、西武、ロッテはスカウトを専念させました。長距離の移動に関する注意喚起もされているので、『宿泊はさせない』とする球団もあれば、人員を最小限に抑えるようにと判断が分かれたのでしょう。すべては、甲子園と地方大会の日程が重なったためです」(在京球団スタッフ)

 履正社には、1年生からレギュラーを張る小深田大地内野手、元阪神・関本賢太郎の息子、勇輔捕手、エース・岩崎峻典らが注目を集めている。大阪桐蔭には、好左腕・藤江星河、大砲タイプの西野力矢内野手らがいる。ところが…。

「高校球児に対する評価が難しくなっています。一昨年の高校生が特にそうです。甲子園を沸かせた吉田輝星(日本ハム)、即戦力と評されていた根尾昂(中日)は、プロの壁にぶつかったまま。逆に3年生最後の夏、甲子園に出場できなかった戸郷翔征(巨人)が、先発ローテーション入りしています。技術面、身体能力も大切ですが、精神的な強さを見極めることが重要になりつつあります」(同)

 ドラフト候補生の試合中の面構え、勝利への執着心が、視察の重要ポイントになりつつあるようだ。

 また、こんな情報も聞かれた。コロナ禍の影響なのか、「高校で完全燃焼できなかった分を大学で!」と、ドラフト候補たちの“進学志望熱”が高まっているという。

「休校となった影響もあると思われます。何よりも、トーナメント大会を勝ち上がるアマチュアの緊張感を求め、甲子園出場校の選手が有名大学のAO試験の申し込みをしています。有名大学の試験結果は10月中旬までには出揃います。スカウトが二重丸を付けた逸材が、大学、社会人に大量流出する可能性も囁かれています」(アマチュア野球担当記者)

 スカウトの仕事は視察だけではなく、お目当ての選手の進路に関する情報収集にも追われていたのだ。

 コロナ禍の収束が大前提だが、秋季大会は都道府県別の独自大会の成績を参考に、シード校が決められる。しかし、国内の新規感染者数は減っていない。

「秋季大会は本当にできるのか?」との声が、ベンチ裏でも囁かれていた。

「一般観戦者がいないせいもありますが、スタンドにはビールの売り子もいなければ、売店もほとんどがシャッターを下ろしたままでした」(前出・飯山氏)

 甲子園周辺では、特製タオルやTシャツ、出場校名の入ったキーホルダーが販売されていた。その販売許可を出しているのは、日本高等学校野球連盟だ。

 お土産はともかく、球児たちが求めているのは、秋季大会が開催されるという確証だ。

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