こうした他のスポーツより大きく出遅れた大相撲も、いよいよ7月19日から「7月特別場所」が始まる。
「大相撲界は、三段目力士が新型コロナウイルスに感染して死亡してしまったため、慎重にならざるを得なかったのです。場所を開催できなかった4カ月間、相撲協会は稽古にも大幅な制限を設けてきました。その影響がどう出るか、当の力士たちも“やってみないと分からない”と不安げな表情です」(担当記者)
先月からは、各師匠の判断で部屋内のぶつかり稽古や申し合いはできるようになっていたが、強い稽古相手を求めて他の部屋に出掛ける「出稽古」は、初日まで1週間を切っても禁止されたままだった。
「大相撲界では、格下力士と相撲を取ることを稽古とは言いません。按摩と言います。つまり、マッサージですね。いくら按摩をしても強くはならない。自分と同程度か、それ以上の力の持ち主とやらないと、実力を磨くことにはならないんです。関取が少ない部屋の力士は、4カ月も体の芯から汗を絞り出すような本当の稽古ができずにいます。出稽古禁止の影響は計り知れませんよ」(同・記者)
佐渡ケ嶽部屋のように幕内力士が大量5人もいるような大部屋なら稽古相手にも不自由はしないが、関取が1人か格下しかいない部屋の悩みは深刻だ。
「御嶽海、阿炎、阿武咲、玉鷲、高安といった優勝戦線を引っかき回して面白くしてくれそうな精鋭たちが、出稽古禁止の影響をもろに受けている。ケガ人が続出したり、期待外れの凡レースになることが心配されます」(協会関係者)
密かにV3を狙っている御嶽海も、「このまま本番を迎えるのは不安だ」と本音を漏らしている。
無名力士の大番狂わせに期待するしかなさそうだ。