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新型コロナ重症化に男性ホルモン説 28歳力士は救えなかったのか

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提供:週刊実話

 新型コロナウイルス感染で入院していた高田川部屋の三段目力士、勝武士さんが5月13日、コロナウイルス性肺炎による多臓器不全のため都内の病院で死去した。28歳だった。国内で20代の死亡は初めて。日本のプロスポーツ選手が新型コロナウイルスの影響で死去するのも初だった。

「相撲界に衝撃が走っています。力士は共同生活。いわゆる3密を絵に描いたような一群が相撲界ですからね。おまけに、四つに組んで名勝負を繰り広げるほど、感染率は高くなる。これではコロナが終息しない限り、大相撲は開催できませんよ」(スポーツ紙記者)

 勝武士さんは中学卒業後に高田川部屋(親方・元関脇安芸乃島)に入門した。2007年春場所初土俵。身長165センチと小柄で明るい性格だった。巡業などでは初っ切り(相撲の禁じ手を面白おかしく紹介する見世物)を務めた。ただ、糖尿病の持病があったという。

 医師で作家の外岡立人氏が言う。
「自然に体が大きくなり、心臓や肺の働きが体の大きさに見合ったものならいいが、力士の場合、高カロリーの食事をし、連日激しい稽古で急激に体が大きくなる。亡くなった力士の闘病経過を見る限り、期間が長く、2つ目の病院に転院した後、重症化して人工呼吸器をつけなければならないほどでした。肺は目の細かいスポンジ状の組織で、気管支の末端には『肺胞』という空気がたまる小さな袋がある。新型コロナに感染して重症化すると、肺胞の壁が厚くなり、肺胞内には水がたまる。勝武士さんは4月4日に発症したとされるが、もっと前から感染しており、症状が出なかっただけなのかもしれない」

 4月8日、熱が下がらず血痰が見られたため救急車を呼び、夜になって都内の大学病院に入院した。簡易検査の結果は陰性だった。

 翌日、状態が悪化したため、別の大学病院へ転院。気管切開などの処置が施され、PCR検査を受けたところ、陽性と判定された。

 4月19日、状態がさらに悪化。集中治療室で治療を受けたが、容体は重篤となり死去した。
「勝武士も御多分に漏れず、小さい体を大きくしようと食事に苦労したみたいです。一般的に力士は朝稽古で汗を流し、腹ペコになってドカ食いするということの繰り返しで体を大きくするわけです。勝武士も吐くほど食べたらしい」(前出・スポーツ紙記者)

 八角理事長(元横綱北勝海)は「力士らしく、粘り強く耐え、最後まで病気と闘ってくれました。今はただ、安らかに眠って欲しいと思います」というコメントを発表した。勝武士さんの感染死は、大相撲の存立基盤そのものが脅かされているとも言えそうだ。

 相撲ジャーナリストの杉山邦博氏が指摘する。
「大相撲は長い伝統から培われた独特の文化がある。糖尿病は新型コロナを重症化させやすいと言われますが、糖尿病のリスクと闘いながら力士は食べている。食べることは彼らの仕事ですから。相撲協会全体で検討すべきことですが、相撲界のやり方は簡単には変わらないと思いますね」

 夏場所は中止が決まっているが、続く名古屋場所(両国国技館開催予定)はどうするのか。たとえ、新型コロナが終息したとしても、第2波、第3波の流行があるとみられている。

 新型コロナの感染や重症化には、男性ホルモンのアンドロゲンが関与しており、前立腺ガンの治療に用いられるアンドロゲン遮断療法(ADT)が感染予防や治療に役立つ可能性がある、とイタリアのパドバ大学などの研究チームが5月7日に発表した。

「前立腺ガンは男性ホルモンによって増殖する。イタリアのある地方で前立腺ガンの患者を調査したところ、男性ホルモン遮断療法を行った患者はやっていない患者に比べ、感染率や重症化率が大幅に低かった。男性が女性より重症化しやすいのは、男性ホルモンの作用が要因の可能性があると指摘している。短期間のADTが予防や治療の手段になるとして、前立腺ガンではない男性感染者を対象に臨床試験を行うよう提言したんです」(医療関係者)

 大相撲の力士は職業柄、闘争心が旺盛で男性ホルモンも高いはず。
「大相撲の横綱ともなると、その傾向がより高いでしょう。亡くなった勝武士は実際どうだったかは分からないが、その可能性は十分ある」(相撲関係者)

 外岡氏の話。
「一般的に男性は女性に比べ、病気に弱いと言われますが、男性ホルモンが(コロナ感染の)重症化に関係するのかどうかは、何とも言えませんね」

 ある相撲部屋では、部屋の中でもマスク着用を徹底させている。師匠にとって、弟子といえば、わが子同然の存在。しかしながら、弟子の半数が基礎疾患の糖尿病を抱えている部屋もある。
「糖尿病や男性ホルモンで重症化しやすいと言われると、そりゃ怖いですよ」(前出・相撲関係者)

 勝武士さんが所属した高田川部屋に限らず、外出自粛を徹底している部屋は多い。近々、相撲協会は力士ら希望者全員に抗体検査を実施する予定だ。

「江戸時代、“史上最強の横綱”とされる谷風もインフルエンザが蔓延した際、罹患してあっさりこの世を去った。スペイン風邪の折、大相撲の一行は台湾を巡業中で力士が感染して亡くなるハプニングもあった。それでも風雪を乗り越え、今の大相撲がある」(同)

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