「120試合前後になるのでは?」(在京球団スタッフ)
プロ野球界は6月19日の開幕戦を実現させようと、懸命に動いている。しかし、「試合を早く」の動きが活発になるにつれ、懸念材料も色濃くなってきた。無観客試合による経営難だ。
「プロ野球は『1試合約1億円』の収入が見込めます。そこから諸経費を引いていくんですが、お客さんがゼロになれば、チケット、飲食、グッズなどの売り上げが見込めません。つまり、ペナントレースが始まっても経営的危機は変わらないのです。メジャー志望の強い選手をポスティングシステムで出す話まで聞こえてきました」(ベテラン記者)
メジャー挑戦の意思が強いとされる、もしくは近年中の挑戦を表明している選手といえば、ソフトバンクの千賀滉大(27)、日本ハムの有原航平(27)、DeNAの山𥔎康晃(27)、巨人の菅野智之(30)らが挙げられる。交渉まで行いながら挑戦を諦めた広島・菊池涼介(30)の“再挑戦説”も出てきた。
「広島は31億円強(推定)の総年俸を払っています。近年のカープ女子ブームで球団は十分に潤っていますが、昨年はBクラスに沈んだにもかかわらず年俸総額が増えました。選手が実績を積んだためです」(同)
若手も順調に育っているが、昨年は正捕手・會沢翼を残留させるために、「3年6億4000万円+出来高」の超大型契約を交わしている。菊池とも「4年総額12億円プラス出来高」の契約を交わした。
菊池とメジャー球団との交渉がまとまらなかったのは、小柄な日本人内野手への悪しき前例が捨てきれなかったからだ。しかし、本当の理由は「リサーチ不足」とされている。
「日本と違い、米国では複数のポジションを守る野手が重宝されています。菊池が三塁を守れることもアピールしていたら事態は変わっていました」(特派記者)
そのため、今後は仕切りを菊池に任すというのだ。
「ソフトバンクも収入減で入札制度に踏み切るかもしれません。有原らに言えるのは、東京五輪に対する気持ちです。延期でモチベーションを持続させられない選手もいれば、五輪開催に疑念を持つ声も球界にはあるので…」(関係者)
メジャー志望選手を引き止めていた「五輪までは」の思いも薄れつつあるという。ここに、球団側の経営危機が重なった。
米球界行きの前倒しが、野球人気の低迷を招かなければいいが…。